伏兵エポカドーロ「狙って取った」皐月賞 覚醒したオルフェの血はダービーでも

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父オルフェーヴルも皐月賞は4番人気

エポカドーロの父はあの三冠馬オルフェーヴル、その血が開花した 【写真:中原義史】

 この皐月賞の大舞台で一気に花開いたエポカドーロ。その要因はジョッキー、トレーナーが口をそろえた体調の良さ、展開、馬場状態が味方したのはもちろんだろうが、それに加えて“三冠馬の血”の後押しも大きかったのだろう。藤原英調教師が言う。

「血統的な背景もありますが、ここに来てグッと馬が良くなってきましたね」

 振り返れば、日本競馬史でも最強クラスの強さと評価される父オルフェーヴルも、皐月賞は単勝10.8倍の4番人気。エポカドーロほどではないにしろ、主役ではなくあくまで有力馬の1頭でしかなかった。しかし、この皐月賞を機に素質が爆発的に開花。その後の活躍はご存知の通りだろう。そんなクラシックシーズンに合わせて覚醒する父の血を色濃く受け継いでいるとしたら……競馬界最高のタイトルである日本ダービーでも、今度は伏兵ではなく、主役の1頭となることができる。

ダービー制覇へ意欲を見せた戸崎(右はゲストプレゼンターの高畑充希さん) 【写真:中原義史】

 慎重派のトレーナーらしく「お母さんは短距離馬で、体形的にも2400メートルはどうかという思いはある」と前置きしつつも、「とにかくポテンシャルのある馬ですからね。今後が楽しみになりましたし、ここからまたリスタート。1からダービーを目指していきたい」と二冠獲りへ前向き。また、同じく戸崎も距離克服、夢のダービー制覇へ目を輝かせている。

「何と言っても乗りやすさがこの馬の強み。数を使ってもテンションが上がらずにドッシリしているから騎手を不安にさせない余裕がある。それに、使うごとに良くなっていますし、皐月賞馬ですから胸を張ってダービーに行きたいですね」

ダービーは日高vs.社台系か

日高生産のエポカドーロがダービーでも再び社台系の馬たちをなぎ倒すか 【写真:中原義史】

 ここ数年のGI、クラシックと言えば社台ファーム、ノーザンファームに代表される「社台グループ」が席巻しており、事実、大阪杯も桜花賞も上位3頭を社台グループが独占。しかし、この皐月賞は非社台である北海道日高地方の牧場生産馬が1〜3着を占めた。これには藤原英調教師も「日高の関係者の力」と特別喜んでいる。

 また、再び血統の話に戻れば、これに関しても面白い結果となった。今年の桜花賞はロードカナロア産駒のアーモンドアイが勝ち、2着はオルフェーヴル産駒のラッキーライラック。そして皐月賞もオルフェーヴル産駒のエポカドーロがV。ロードカナロア、オルフェーヴルともに現3歳世代が初年度産駒となる新種牡馬であり、桜花賞、皐月賞ともに上位3頭にディープインパクト産駒が入れなかった。

 何が言いたいかと言うと、僕がアンチ社台、アンチディープということではない(誤解しないでくださいね。社台の馬もディープ産駒も好きですよ)。生産牧場、血統ともに、最近流行りの言葉を使えば“多様性”があるというのは良いことだと思う。キタサンブラックという大きな柱が抜け、またそれに並ぶ大将格サトノダイヤモンドの不調もあって、不安に思っていた2018年シーズンだが、確実に“新しい風”が吹いているということだ。付け加えれば、本来皐月賞の大本命だったはずのダノンプレミアムも日高産。すなわちダービーは、日高の馬に社台系の馬がどう挑むか――という、ここ数年全くなかった構図になりつつある。そんなアングルも楽しみになった2018年ダービー戦線。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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