FIBA事務総長の気になる発言から考える バスケ男子代表、東京五輪出場への道筋

大島和人

保証されていない東京五輪の「開催国枠」

3月18日のメディア・ブリーフィングにおいて、FIBAのバウマン事務総長(右)が気になる発言をした。左はJBAの三屋会長 【スポーツナビ】

 2シーズン目を迎えているBリーグは今季も観客数を伸ばし、順調な成長を続けている。一方でピンチに直面しているのがバスケットボール男子日本代表だ。

 日本は2020年に東京五輪の自国開催を控えている。14年11月に日本バスケットボール協会(JBA)は国際資格停止処分を受けたが、それは国際バスケットボール連盟(FIBA)が東京五輪を見越して打った先手だった。

 当時の記者会見でFIBAのパトリック・バウマン事務総長はこう述べている。

「東京五輪、またその先に向けてバスケの強い基礎を作るためには、非常に素晴らしい機会が来たと考えている。そういった背景があり、JBAに内部的な問題を解決するようにプレッシャーを与えてきた。次世代の選手、20年の五輪、さらにその将来に向けて必要な基盤となるものを構築することが必要だ」

 バスケットボールは他競技と違い、五輪の「開催国枠」があらかじめ保証されていない。直近のリオデジャネイロ五輪、ロンドン五輪は結果的に開催国が推薦出場を果たしたが、FIBAの意思決定機関「セントラルボード(中央理事会)」が検討、決定をした末のことだった。東京五輪では男女の5人制、3×3(3人制)4種目の開催が予定されているものの、推薦のプロセスは明文化されていない。

 女子日本代表は直近のアジアチャンピオンで、リオ五輪でも8強入りを果たしている。こちらの推薦出場について悲観しているバスケ関係者はおそらくいない。

 一方の男子は18年2月末の時点で世界ランクが48位(18年2月28日時点)。15年のアジア選手権では18年ぶりの4強入りを果たしたが、五輪の自力出場となるとかなりの高い壁と言っていい。

バウマン事務総長による注目発言

日本はW杯アジア1次予選で開幕4連敗と苦しんでいる 【松岡健三郎】

 東京五輪予選も兼ねる重要な大会が、FIBAワールドカップ(W杯)2019だ。W杯それ自体も重要な大会だが、ここへの出場が東京五輪自力出場の前提となる。仮に好成績を残せなかったとしても「出場権を自力で獲得して本大会で善戦する」ことが、FIBAの推薦を得る材料になる。

 W杯アジア1次予選に参加しているのはアジア・オセアニアから16カ国だ。日本は17年6月に長野で開催された東アジア選手権の結果から、この出場権を得ている。12カ国が最終2次予選に進み、7か国が本大会出場権を得る仕組みだ。2019年大会は中国で開催されるため、合計8か国がアジア・オセアニア地区から参加することになる。

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 しかし17年11月に開幕したW杯アジア1次予選で日本は、フィリピン(ホーム)、オーストラリア(アウェー)、チャイニーズ・タイペイ(ホーム)、フィリピン(アウェー)を相手に4連敗中。「4チーム中3位以上」が2次予選に進む規定のため、まだ挽回は可能だが、2試合を残してグループ最下位に沈んでいる。

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 そんな中で来日中のバウマンFIBA事務総長が、日本の五輪出場について注目すべき発言を行った。

 彼は3月18日に行われた、JBA臨時評議会に関するメディア・ブリーフィングでこう述べている。「次回の(FIBAの)セントラルボードが6月に開催されるので、そのときにどういう条件ならば(日本が東京五輪に)出場できるかという協議も行う。とりあえず(男子W杯1次予選の)残る2試合の状況を、見極めたいと思っている。FIBAは決して皆さんをいじめたり、邪魔をするために動いているわけでなく、日本をサポートしたいと思っている。成績だけではなく、それ以外の視点からも見極めたい。代表チームに関してだけでなく、日本バスケの発展が今後どのように進められるかを考慮する。結果にもっていくために、どういう道筋を進んできたかが考慮対象になる」

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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