代表監督が目指す「日本流」バスケとは? W杯予選を直前にラマスHCの狙いを聞く

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ラマスHC(写真)が提唱する「日本流」のバスケとは何か? Bリーグ公認アナリストの佐々木クリス氏が切り込んだ 【スポーツナビ】

 日本のバスケは前進しているが、世界のバスケも進化している。代表がより先へ進むためには、より大きな相手に立ち向かうための綿密な構想が必要になる。また11月24日に開幕するワールドカップ(W杯)アジア1次予選で男子日本代表が対戦する3カ国は、世界ランクを見ればいずれも「同等以上」のチーム。決して長くはない準備期間の中で、それぞれの特徴に合わせた策を用意しなければならない。

 フリオ・ラマスヘッドコーチ(HC)が提唱する「日本流」とは何か? 後編もさまざまな視点からBリーグ公認アナリストの佐々木クリス氏が切り込んだ。

クリス「ミドルレンジのシュートが多いことをどう感じるか?」

ヨーロッパやNBAの試合では、ミドルレンジをのシュートを排除して3ポイントを打つ流れがある 【スポーツナビ】

――ヨーロッパやNBAの試合を見ると、ミドルレンジのシュートを排除して、リング回りやコーナーからの3ポイントをより多く打つ流れがあります。それに対して日本は直近のOQT(リオデジャネイロ五輪最終予選)や過去の代表、Bリーグを見ても、ミドルレンジのシュートが多くなっています。それをラマスさんはどう感じましたか?

 国際試合を見ても、3ポイントシュートが多くなっていますね。3ポイントシューターも増えていますし、ビッグマンの3ポイントシューターが多くなりました。今はペリメーター側(編注:3ポイントライン付近の外角)が4人、インサイドは1人というスタイルが主流です。

 20年前ならば3ポイントシュートの割合は平均10〜15%くらいです。10年前になると20%まで増えて、現代バスケでは(2ポイントより)3ポイントの方が多いチームも多くあります。今は平均25〜30%ではないでしょうか。

 今は「中に入れさせない」というディフェンスのスタイルを確立しているチームが多くなっています。FIBA(国際バスケットボール連盟)はNBAとルールが少し違うので、ペネトレーション(編注:ゴール付近への侵入、切り込み)に対して、チームでまとまってディフェンスするスタイルが確立されています。結果としてオープンになった状態、3ポイントシューターが打つスペースが作られている試合が増えて、そうなると3ポイントシュートが多くなるというのは自然なことです。そのための準備、トレーニングが必要になってきています。日本もそういうレベルで見ると悪くなく、それなりのレベルには達していると思います。

――7月から代表にフレッシュな顔ぶれも加わって、熊谷尚也選手(大阪エヴェッサ)や宇都直輝選手(富山グラウジーズ)といったこれまでのタイプと違う選手が選出されています(11月20日現在)。どういうところに着目したのですか?

 Bリーグの試合を見て、タレント力があるなという選手を連れて来ています。宇都に関してはペネトレーション(編注:ドリブルでペイントエリア内へ切り込んでいくプレー)も、ゲームクリエーションもうまい選手だと思っています。熊谷は3番(スモールフォワード)で起用できる選手です。195センチという身長を持ちつつ、それだけのポテンシャルを持っている選手なので、チームにすごく貢献できる選手だと思いますし、あとはリバウンドの部分で努力、成長を続けていけば大事な存在になると思います。

――熊谷選手はラマスさんが視察したシーホース三河戦(11月3日)でも24得点を挙げていましたが、期待することはリバウンドやディフェンスなのでしょうか?

 彼のことは千葉と大阪で2試合見ています。私がいま求めているのはペリメーター側の選手もDFに対する意識を高く持ってプレーすることです。日本代表の独自のスタイルを作ろうとしている中で、確かに平均身長を上げないといけないのですが、現時点では215センチのビッグマンはいません。日本流スタイルの一部として、全員がリバウンドを取りにいく、ペリメーター側の選手が最低1本でもリバウンドを取るという考えを持たせたい。そこはもっと成長しなくてはいけませんし、チームとしてまとまってやらなければいけないところです。

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