FIBA事務総長の気になる発言から考える バスケ男子代表、東京五輪出場への道筋

大島和人

三屋会長が続投内定も責任は重大

「推薦」での五輪出場の可能性も気にはなるものの、男子代表の「強化」は必須だ 【松岡健三郎】

 6月にFIBAのセントラルボードで、まず東京五輪の推薦出場枠の方向性が決定されることになる。それをトップが明言した。バウマン事務総長の発言は間違いなく「柔軟性」を残したもので、男子日本代表が1次予選、2次予選で屈した場合の出場権獲得についても含みを残しているといっていい。

 同18日の臨時評議会で20年6月までの会長続投が内定したJBAの三屋裕子会長も、こう抱負を述べた。

「あと2年の在任中に、2020年の東京五輪・パラリンピックの出場権という問題がかかってくる。セントラルボードのメンバーの一人として、しっかりFIBAと向き合って、ご指導をいただきながら、今の日本に何が足りないか、何をプラスしたらお認めいただけるかを、これからコミュニケーションを取りながらやっていきたい」

「自力」と「推薦」2つの焦点

20年6月までの会長続投が内定した三屋会長。東京五輪出場へ向け、手腕が問われる 【スポーツナビ】

 W杯から五輪につながるプロセスは、現時点でこう決定している。男子W杯の出場枠は中国大会から8枠増の「32」に拡大されたが、五輪は「12」と狭き門だ。

 W杯参加国の中から、東京五輪の自動出場が決まるのは7チーム。大会の成績から「アジア」「アメリカ」「ヨーロッパ」「アフリカ」「オセアニア」という5大陸の最上位と、アメリカ、ヨーロッパの2位が出場権を得る。

 残る5枠を争うのが世界最終予選だ。まず「自動出場権を得られなかったW杯参加国」の上位16チームがここに回る。そこに加えて「アジア・オセアニア」「アメリカ」「ヨーロッパ」「アフリカ」の4大陸から2チームずつが推薦される。

 日本はW杯でアジア最上位となり「7」に入ればベスト、W杯で出場権を得られずとも「16」枠に入ればベターだ。またその「16」枠に日本が入れなくともアジアの国がそこに入れば、日本は「五輪世界最終予選への推薦出場」という確率が上がる。つまり「最終予選出場の推薦を得られるかどうか」という点も日本代表の強化、五輪出場に向けた焦点となる。

 最終予選は16+8の計24チームが、4つのグループに分かれてリーグ戦を戦い、各組の首位が五輪の出場権を得る。日本が開催国枠を得られなかった場合は、各組2位の中で最上位チームが最後の枠を得る。
 繰り返しになるが重要な決定が下されるのは6月のFIBAセントラルボード。男女ともに五輪予選方式に関してより詳細な方向性が提示されることになる。最終予選の出場権をFIBAが決めるのか、それとも大陸ごとに決めるのかといった部分も含めて、そこで固まるはずだ。

 選手たちは自力での出場権獲得を目指しているはずで、可能性がある限りはチャレンジが続く。またW杯1次予選、2次予選の結果がどうなろうと男子日本代表の強化プロセスを今後も進めねばならない。仮に「他力」で出場権を得ることになったとしても、強化が不要ということでない。しかし現実として男子代表はFIBAの決定に出場を左右される可能性が高い。そう考えると非常に気になるバウマン事務総長、三屋会長の発言だった。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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