プロデビューから2年半、際が感じた成長 トゥエンテとの再戦で得た自信と伸びしろ
成長を実感するも、新たな欲望が生まれる
敗戦にも、際は自身の成長に手応えをつかんだ 【Getty Images】
際は「カップ戦は一発勝負でロマンがあります。取りたかったです。もったいなかった」とベスト8敗退を悔しがった。この試合、彼にとってのもう1つのテーマ、「コロナとマッチアップしたデ・フロルーシュ・フェステでのデビューマッチから2年半、自身の成長をどう見るか」について、際に問うた。
「2年半前とは全然違いますね。一番大きいのはメンタル面。スタジアムとかサポーターとか、いい緊張はもちろんありますよ。でも変な緊張は全くなく、僕は落ち着いて試合に挑むことができました。今日はボールをもらってさばくというより、(守備的戦術で)受け身でしたが、やはり、2年半前に比べたら選手としてはよくなっていると思います」
ドルトレヒト時代の際は、良いプレーをした試合でも、失点に直結しそうなミスもあった。それがカンブールに来てからは消えた。
「普通に落ち着いてやれています。でもトゥエンテを見ると、『(オランダらしい攻撃的な)サッカーがやれて楽しいだろうな』という感じがあります。ジュピラーリーグのレベルなら、カンブールもサッカーをやれるのでいいのですが、やっぱりこれくらいハイテンポなサッカーをしたいという欲望が生まれます」
際がピッチの上で感じたトゥエンテの「ハイテンポなサッカー」とは何だろうか。
「トゥエンテは、前のスピードのギアの上げ方がうまい。だけどトゥエンテはFW(2トップ)が走ってトップ下も走って、裏に抜けていく選手がすごく多いから、どうしてもカンブールのDFは下がってしまう。そこでうまくアサイディが止まって、足元でボールをもらってドリブルで抜けて、そこからまたオーバーラップしてくる選手に出す。こうして、トゥエンテは前線に関わる人数がすごく多かった。それに比べると、カンブールはボールを持っても、前に行く選手が少なかった」
1部でやれる自信が付いた
1部でやれる自信が付いたという際は、カンブールでアピールを続ける 【Getty Images】
「本当は今日の試合でもっとバンバンやりたかったけれど、こういう結果になってしまいました。そこが悔しいです。だけど、僕たちの試合はエールディビジのクラブがたくさん見に来ていると聞いています。やり続ければ、おのずと移籍の話も来ると思う。監督、TD(テクニカルディレクター)を含めて、みんな僕のプレーには満足しているという話を聞いています。監督も冬のキャンプ中にそういう話をしてくれた。自信をもって、このままやり続けるだけだなという感じですね」
今日やってみて、1部でやれる自信は?
「付きました。サッカーが、このテンポでもっとやりたいと感じました。2年半前の僕だったら付いていくのがやっとでしたが、今はそうじゃない。夏にAZの練習に参加したことも含めて、その環境でやれば伸びるし、絶対にできる自信もあるのでやりたいです。分析担当者も『ドルトレヒトのときより体力面がかなり改善されている』と言っていました。ドルトレヒトからエールディビジに向けて、いい具合に1つクッションを踏んでいます」
そして、際は続ける。
「課題は全部です。ここがゴールではないし、エールディビジもゴールではない。もっと上を目指すためにも、全てを上げていかないといけない。まだまだ伸びしろはある。いや、伸びしろしかない」
今、カンブールは11位と不本意な成績だが、1部・2部の入れ替えプレーオフは2部リーグから8チームも参加できる上、ヨング・アヤックス、ヨングPSVなどリザーブチームには資格がない。つまり、カンブールにも一発逆転のチャンスは残っている。レギュラーシーズンは残り16試合、際とカンブールの奮闘に期待したい。