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際が自ら勝ち取ったカンブールへの移籍
「競争を勝ち抜くことが大事な1年」

練習の合間にデザインを学ぶ

この夏、ドルトレヒトからカンブールに移籍した際。1部昇格を目指すチームで、ポジション争いに挑んでいる
この夏、ドルトレヒトからカンブールに移籍した際。1部昇格を目指すチームで、ポジション争いに挑んでいる【中田徹】

 ファン・ウェルメスケルケン際は6月下旬、東京五輪・パラリンピックのホストタウン交流事業の一環として、福島県郡山市で中学生相手にサッカー教室を開いていた。「サッカーチームの練習が終わった後、何をしているんですか?」と質問された時、際はこう答えた。


「筋トレをしたり、自主トレーニングをしたり、いろいろありますけれど、昔から文武両道でやってきているので、だいたいの場合は勉強しています。勉強はサッカーと結びついていないように見えて、意外としっかり結びついている。学校の勉強をしっかりするということも大事ですけれど、プラスアルファで、自分が知りたいことや、やりたいことに関して調べることも勉強ですから、そういったことが大切ですよ」


 今、際が学んでいるのはデザインだ。


「母が服飾デザイナーですし、父が宝飾デザイナーなので、デザインを学ぶことに興味がありました。服などを見ていていいなあと思うだけではなく、色の組み合わせなど、こういう理由があるから良いんだというデザインの基礎を学んでいます。


 あくまで例えばなんですが、スポーツメーカーとスパイクのコラボレーションをやりましょうとなって、何か自分が意見を出す時に『こういう色の組み合わせだったら、人にこういう感情を与えるよね』とか、自分のウェブサイトを作る時に『この色とこの色を合わせたら反発しちゃうよね』とか。単なる好き嫌いではなく、理論と一緒にデザインを説明されたほうが相手にも分かりやすいですし、自分も説得力を増して説明ができます」

「僕は日々、文武両道でやっている」

 こうした勉強は、実際にどうサッカーと結びついているのだろうか。8月21日、際はオランダ2部リーグのドルトレヒトからカンブールに移籍した。「それこそ昨日(9月13日)、コーチから言われたんですけれど」と前置きし、あるエピソードを教えてくれた。


 その日、際はカンブールのコーチとビデオ分析を一緒にしていたという。やがて生い立ちなどの世間話になった。


「際は勉強しているのか?」(コーチ)


「日本の高校を卒業してからオランダに来て、UEFA(欧州サッカー連盟)と提携している通信大学で2年間経営を勉強し、今はデザインの勉強をしています」(際)


「ああ、そうなんだ。やっぱりね」(コーチ)


「何がやっぱりなんですか?」(際)


「フォーメーションや戦術が変わった時や、初めて見るような練習の時に、際は理解が早いからすぐに察知してできるようになる。それはしっかり勉強という基礎があって、頭のなかできちんと理解ができるから、理解が早い。そこは見ていれば何となく分かる。そういう選手はなかなかいない」(コーチ)


「僕は日々、文武両道でやっています。そこがベースにあると思います」(際)


 際は続ける。


「海外に住んでいると、『こうだろう』という答えを自分で考えて出す力が絶対に必要じゃないですか。言葉が通じないことが多い中、見ていて想像して理解できるのは、勉強からきているのかなと僕は思っています」

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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