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「圧倒的な王者」タイ攻略のために――
リオ銀ボッチャ・廣瀬が見据える高み

提供:東京都

リオデジャネイロ大会で銀メダル獲得

集中力を研ぎ澄ませ、ジャックに向けてボールを放つ廣瀬
集中力を研ぎ澄ませ、ジャックに向けてボールを放つ廣瀬【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 ボッチャは、脳性まひなど四肢に重度障がいがある人のために考案されたスポーツで、パラリンピック特有の競技である。


 選手は赤、青チームそれぞれ6球を使用。ジャックボールと呼ばれる白い目標球を投げた後、自分のボールをいかにジャックに近づけるかを競い合う。6球を投げ終わって最もジャックに近い位置にあるボールが勝ちとなり、相手ボールより内側の球数で得点が決まる。カーリングに似ているが、最初にどこにジャックを投げるかは自由。さらにゲーム中に自分の球を使ってジャックを弾き移動させることもできる。目標が定まらないため1球ごとで展開が変わるところに、ボッチャの面白さと奥深さがある。


 1984年のストークマンデビル・ニューヨーク大会からパラリンピック競技となり、日本は2008年の北京大会から出場。16年のリオデジャネイロパラリンピックの団体戦で銀メダルを獲得した。


 集中力はボッチャに欠かせない要素だ。力強いパワーや精度の高いテクニックも、集中力がなければ発揮できない。


「集中するために、一つだけやっていることがあります。試合開始直前に一人で目を閉じて後ろを向くんです」


 こう話すのは日本を代表するボッチャプレーヤーである廣瀬隆喜。北京大会からパラリンピックに出場し、リオの銀メダルに貢献した一人である。落ち着いてプレーすれば勝てる、自信を持ってプレーすれば勝てる。自分に向かって念を送る。このルーティーンが、廣瀬の、日本チームの流れを作る。

戦略性の高さも魅力の一つ

 廣瀬は、1984年に千葉県で生まれた。脳性まひのため、幼少時は脚部に装具を使用して歩行していたが、高校進学とともに車いす生活になった。陸上競技などに取り組んでいたが、高校卒業時に継続できるスポーツを模索していたところ、ボッチャに出会った。


 東京パラリンピック開催が決定し、ボッチャを体験できるイベントも急増した。だから、やってみたことがあるという人も少なくないだろう。ビーズが入ったボールを片手で投げる。遠くに転がりすぎたり、手前で止まったり、思ったように目標には近づけないものだ。


「最初は僕もそうでした。早めにボールを放すと左側に曲がってしまう。反対にボールを放すタイミングが遅くなると右側に曲がってしまう。何度も何度も投げて、リリースのタイミング、スピードやパワーを体得していったんです」


 相手チームのボールやジャックを弾いて、ドラスティックにボールの配置を変える。あるいは、ボールが密集しているところに乗り上げたり、バラけさせたりもする。目標の奥にボールを置き、ジャックを動かして置いてあるボールに近づける作戦も有効だ。利き手の左手にボールを持ち、前後に動かして狙いを定める廣瀬の目は、まるで猛禽類だ。思い通りのショットが決まると、大きなガッツポーズとともに「ウォー!」と吠える。

宮崎恵理

東京生まれ。マリンスポーツ専門誌を発行する出版社で、ウインドサーフィン専門誌の編集部勤務を経て、フリーランスライターに。雑誌・書籍などの編集・執筆にたずさわる。得意分野はバレーボール(インドア、ビーチとも)、スキー(特にフリースタイル系)、フィットネス、健康関連。また、パラリンピックなどの障害者スポーツでも取材活動中。日本スポーツプレス協会会員、国際スポーツプレス協会会員。著書に『心眼で射止めた金メダル』『希望をくれた人』。

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