ラ・リーガの優勝争いはほぼ終結? バルセロナの完勝に終わったクラシコ

BBCが見られる可能性は高まった

CLが再開する2月以降はBBCがそろって見られる可能性が高まった 【Getty Images】

 右サイドでプレーしていたころとは違い、今季のメッシは1つのプレーエリアにとどまり続けることがない。全く動いていないように見えて、細かくポジショニングの修正を行っていることもある。1つの方向に動くと見せかけてマークを外し、フリーになって逆の方向へ抜け出すこともある。しかも彼は1対1での突破力に加え、ショートパスでもロングパスでも決定機を作り出せるまれな選手だ。そんな彼にアンドレス・イニエスタやイバン・ラキティッチらタレント溢れるチームメートのサポートまで加わったら、そのプレーを阻止し続けることは困難を極める。

 しかも後半の早い時間帯に、スアレスに先制点を奪われたことで、ジダンは当初の戦略を捨ててアタッカーを投入せざるを得なくなった。さらにはダニエル・カルバハルの退場とともに、メッシに0−2とされた時点で、レアル・マドリーはあまりにも不利な状況に追い込まれた。

 この試合で出番を与えなかったことで、ジダンはイスコがベストコンディションにないと考えていることがはっきりした。並行して長期離脱明けのギャレス・ベイルが実戦のリズムを取り戻し始めたことで、CLが再開する2月以降はBBC(ベイル、ベンゼマ、C・ロナウドの3トップ)がそろって見られる可能性が高まったと言える。

まだサプライズが残されている?

今季のラ・リーガにはまだサプライズが残されているだろうか? 【Getty Images】

 プレミアリーグが覇権を握っているアジア市場を開拓すべく、今回のクラシコは現地時間の13時キックオフで行われた。だがこうしたマーケティング戦略も虚しく、この試合でバルセロナがレアル・マドリーに完勝し、2位のアトレティコ・マドリーにも勝ち点9差をつけたことにより、ラ・リーガの優勝争いはシーズン半ばにして大勢が決し、後半戦の見どころが半減したことを世界中に知らしめる結果となってしまった。

 並行して、スペイン代表のW杯本大会出場権がはく奪される可能性が浮上したことも、同国のフットボール界のイメージを悪化させる一因となった。行政のフットボール協会への介入を禁じているFIFA(国際サッカー連盟)は、29年間もスペインフットボール協会の会長を務めてきたアンヘル・マリア・ビジャールがスポーツ行政裁判所の命によって解雇されたことを問題視している。

 現ヨーロッパ王者であり、世界王者にもなったばかりのレアル・マドリーは、ホームでバルセロナに惨敗するとともに、ラ・リーガの優勝争いから早々に脱落してしまった。残された唯一のビックタイトルであるCLでも、決勝トーナメント1回戦で優勝候補の筆頭に挙げられているパリ・サンジェルマンとの対戦が控えている。

 幸いにもフットボールは、統計通りの結果に落ち着くとは限らないスポーツである。今季のラ・リーガにもまだサプライズが残されていることを願うばかりだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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