ラ・リーガは「世界最高」なのか?
再考すべきテクノロジーの導入と経営状況

首位決戦で起きたミスジャッジ

明らかにゴールラインを割っていた得点が認められず、首位決戦は1−1の引き分けに終わった
明らかにゴールラインを割っていた得点が認められず、首位決戦は1−1の引き分けに終わった【写真:ロイター/アフロ】

 それは、徐々にバルセロナがバレンシアのゴールへと近付きはじめた、前半29分のことだった。


 リオネル・メッシの放ったシュートがGKノルベルト・ネトの正面を突く。GKにとって難しいシュートのようには見えなかった。だがボールはネトの手からすべり落ち、股下を経由して彼の背後へとすり抜ける。彼が慌ててかき出した際、すでにボールはゴールラインを割っていた。だが主審のイグレシアス・ビジャヌエバも線審のホセ・ラモス・フェレイロも、バルセロナの先制点となるべきゴールを認識することができなかった。


 明らかにゴールラインを割っていたその得点が認められず、現地時間11月26日に行われたラ・リーガ第13節の首位決戦は1−1の引き分けに終わった。その結果、この重大なミスジャッジはいまだにラ・リーガがビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)やゴールラインテクノロジーを導入していないことに対して、あらためて議論を巻き起こすことになった。

自らを「世界最高リーグ」と称しているが……

ブンデスリーガやセリエAなど、多くの欧州主要リーグでVARは導入されている
ブンデスリーガやセリエAなど、多くの欧州主要リーグでVARは導入されている【写真:アフロスポーツ】

 ラ・リーガは近年、綿密にオーガナイズされているプレミアリーグとの競争を意識し、世界各国からより高いテレビ放映権料を得るために手を尽くしてきた。アジア諸国などとの時差を考慮し、試合時間を見直してきたのもそのためだ。今季は一定の観客動員率を下回ったクラブには罰金まで課すようにもなった。


 その傍らで、なぜかテクノロジーの導入については真剣に検討せず、先の試合で生じたような重要なジャッジについては前世紀からのやり方を維持し続けてきた。ラ・リーガは過去4シーズンのヨーロッパ王者と過去3シーズンの世界王者を擁し、自らを「世界最高リーグ」と称しているにもかかわらずだ。


 そんな組織がなぜ、レフェリーについては“人力”に頼り続けるのか。すでに他のあらゆる競技がさまざまな形で取り入れているテクノロジーのサポートは、今やFIFA(国際サッカー連盟)ですら推奨しているだけに、これは理解し難いことである。


 VARについてはまだイタリアやドイツで試されはじめている段階ながら、ボールがゴールラインを割ったかどうかを確認するシステムは何年も前から確立されている。そのために必要なシステムはVARほど高額ではないし、導入にあたって障害があるわけでもない。


 ましてやラ・リーガのハビエル・テバス会長が頻繁に訪れ、オーガナイズについてアドバイスしているアルゼンチンさえもが、2017−18シーズンから「スーペルリーガ」と改称した国内リーグにテクノロジーを導入しているのだ(編注:テバス会長は18−19シーズンからラ・リーガでVARを導入する意向を示している)。

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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