堂安律がオランダで自身の成長を実感 精神面での糧は「A代表という目標」
日本代表入りが現実的な目標に
フローニンゲンでプレーする堂安律は、日本対ブラジル戦を観戦後に心境の変化を感じていた 【Getty Images】
「あ、こんにちは。はじめまして、堂安です」
「よろしく」
「お願いします」
こんな感じの一瞬の出来事だった。だが、堂安の志すところは、もっと上にある。それは2018年ロシアワールドカップ(W杯)だ。逆算すれば、来年3月の国際マッチウイークで日本代表に選ばれることが必須になるだろう。リールで会った日本サッカー協会関係者に「可能性はある」と励まされ、堂安はフローニンゲンへ戻ってきた。
「可能性はある」――。その一言に「単純かもしれませんけれど、間違いなく練習への意識とか、サッカーを考える時間が増えましたね」と、堂安の心に栄養が行き渡った。
国際マッチウイーク明けの初戦となった11月19日のフィテッセ戦で、堂安はチームに攻撃のスイッチを入れ続け、4-2の勝利に貢献した。25日のフェイエノールト戦は0−2で敗れてしまったものの、フローニンゲンのサポーターたちが敢闘をたたえて、フィテッセ戦に続いて堂安を「ホームチームのマン・オブ・ザ・マッチ」に選出した。
「ブラジル戦を見に行って、それからオランダリーグで2試合しましたけれど、すごいポジティブにやれている。だめなプレーがあったとしても、次のプレー、次のプレーとポジティブにできている。すごく楽しめてやれています。やっぱり目標(ロシアW杯)がないとね。どこかサボっちゃうところがあるので」
「トップクラブ相手でもやれる」
「(日本)A代表という目標がある。それが精神的な成長につながっている。自分の目標が達成していければ、チームは必然と(上位に)上がっていける。そういう意味で、『個人としての目標をブラさずにやるぞ』と思っていました」
フェイエノールト戦では、カリム・エル・アーマディ(モロッコ代表)の厳しいマークを受けた。エル・アーマディは「オランダリーグで一番ポゼッション能力の高いMF」と言われることもある、32歳のベテランだ。さらに、22歳にしてすでに150試合を越すオランダリーグ経験を持つトニー・ビレーナ(オランダ代表)、技術・パワー・戦術眼の三拍子そろったソフィアン・アムラバト(モロッコ代表)のうちどちらかが、堂安がボールを持つとエル・アーマディと協力して防ごうと構えていた。
狭いスペースの中でもドリブルを仕掛け、ルーズボールの奪い合いでは目いっぱい、足を伸ばし続けた堂安は、2度もピッチに倒れ込んだ。その時、痛めた左ひざは縫うことになるだろう。このようなバトルの末に得たものは「トップクラブ相手でもやれる」という自信だった。
「個人的にはやれていたと思います。僕個人としてはチームが2失点してからも――言い方は悪いですけれど、自分がどれだけできるか試すために気落ちは全然しなかった。アホみたいに自分だけ走っている場面もありましたが、そこは全然、気にもしていない。今日は、何か自分の中で成長しているなと感じられた1試合でした」