堂安律が磨き続ける“ターン”という武器 オランダでつかんだ手応えとW杯への思い

中田徹

開幕戦以降、出場機会に恵まれなかったが……

開幕戦に初先発を果たした堂安だったが、その後は出場機会に恵まれない日々が続いた 【Getty Images】

 今季、フローニンゲンに加入した堂安律はいきなり開幕カードのヘーレンフェーン戦(3−3)でスタメン出場したが不発に終わり、翌節、楽しみにしていたアヤックス戦(1−3)はずっとベンチのままだった。悔しさを押し殺しながら、堂安は素直に心の中を語ってくれた。

「相手には(クラース・ヤン・)フンテラール選手がいました。自分が小さいころに見ていた選手がこうして同じピッチで近くにいた。いま自分が憧れている(リオネル・)メッシやネイマールとやれる日がいつかくるのかなと考えながら、ナンボでも可能性はあるなと感じました。

 今日、(アムステルダム・アレーナという舞台で)いい雰囲気を感じることができた。本当に悔しい思いもできたので、よかった。何試合後かに『あの試合がよかった』と言えるようにしたいです」

 それが8月20日(現地時間)のことだった。

 久々に堂安が出場機会をつかんだのは9月21日、KNVBカップ1回戦のヘルクレス戦。この日も堂安はベンチスタートだった。チームは前半を終えて1−1と苦戦し、アーネスト・ファーバー監督は後半開始から堂安の投入を決断した。すると、右サイドハーフとしてプレーした浪速の若獅子は、わずか43秒で「勝ち越しゴール」という結果を残した。

4試合連続でチームの得点に絡む活躍を見せる

4試合連続でゴールに絡む仕事をするなど、堂安は「好調そのもの」の活躍を見せる 【Getty Images】

 ヘルクレス戦から中2日のオランダリーグ第6節、トゥエンテ戦で堂安はトップ下のポジションを勝ち取った。以降、堂安は常にチームのゴールに絡み続けている。

 トゥエンテ戦(1−0)では堂安のシュートがブロックされたこぼれ球を、ウサマ・イドリッシが頭で詰め、決勝ゴールを記録した。翌週のズウォレ戦は2−3と敗れたものの、堂安はマーカーとGKの股をダブルで抜く右足のゴラッソを決めた。続く国際マッチウイーク明けの10月15日、AZ戦でも、堂安のペナルティーエリアへの侵入が相手のファウルを誘い、1−1の引き分けにつながる、貴重なPKを獲得した。

 これでリーグ戦3試合連続、カップ戦も含めれば公式戦で4試合連続、堂安はチームの得点に絡んでいることになる。好調そのものだ。

 AZ戦後、PKを奪ったシーンを振り返り、堂安は「トップ下でしたが、自分が押し上がってFWの動きをすることを意識していた。いい体の動きでした。パスを受けてからの反転は、すごくスムーズにいけました。イメージ通りの回転で、イメージ通りのパスもきました」と語った。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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