全日本インカレの見どころを徹底解剖 群雄割拠の女子は筑波大が雪辱を果たすか!?

月刊バレーボール

全日本に選ばれ、東京五輪での活躍も期待される井上愛里沙(筑波大4年) 【月刊バレーボール】

 11月27日の開会式を皮切りに、28日から一発勝負のトーナメントが始まり、12月3日には決勝戦が行われる全日本インカレ。この大会で活躍した多くの選手が、今もVリーグや全日本へ活躍の場を広げている歴史ある大会だ。今年は第70回記念大会でもあり、5年ぶりに男女とも東京で開催される。なお、出場するのは各地の精鋭それぞれ64チームとなる。

男女共に将来有望な選手が勢ぞろい

 男子で3連覇中の中央大には、全日本の石川祐希(4年)、大竹壱青(4年)らが在籍し、武智洸史(4年)主将を中心に実力者がそろう。対抗するのは、秋季関東大学リーグで優勝を果たした攻守に安定感のある早稲田大をはじめ、高い攻撃力を誇る筑波大、そして全日本に名を連ねる小野寺太志(4年)、鈴木祐貴(3年)、新井雄大(1年)らを擁する東海大など。今年も見どころ満載の熱い戦いが期待される。

 セリエAのラティーナで技術を磨く石川、ドイツのフランクフルトで活躍する大竹ら海外挑戦組を筆頭に注目が集まる大学男子バレー界。しかし、女子も負けてはいない。今年の8月末に行われたユニバーシアード(2年に1度開催される、学生の五輪といわれる大会)には、井上愛里沙(筑波大4年)、杉郁香(東京女子体育大4年)、丸尾遥香(筑波大3年)、野嶋華澄(青山学院大2年)、横田真未(東海大2年)が現役大学生として出場。1995年に福岡で行われた第18回大会以来、11大会ぶりとなる銀メダルを獲得した。

 3年後の東京五輪だけでなく、さらにその先の五輪でも活躍が期待される世代がしのぎを削る本大会。特に女子は、全国各地のトップチームに差がなく、どこが勝ってもおかしくない。

昨年の決勝カードが準決勝で実現か!?

昨年度の全日本インカレは、鹿屋体育大が制覇。今年は第1シードを獲得し、連覇を狙う 【月刊バレーボール】

 女子の優勝候補にまず名乗りを上げるのが、関東の名門・筑波大。昨年度の全日本インカレでは決勝戦まで、すべてストレートで勝ち上がった。しかし、鹿屋体育大との決勝では1セットも奪えず準優勝に終わった。今年度も、その悔しさを知るメンバーが多く残っており、全日本にも選ばれている井上は、たぐいまれなアタックセンスでチームを先導する。長身メンバーをずらりとそろえる筑波大の中でも、その高さと巧(うま)さは際立っており、相手ブロックをかわしてスパイクを決める頼もしいエースだ。

 4年生の層も厚い。リベロの和田実莉、ミドルブロッカーの萩谷沙也加も1年時からコートに立ち続けている。今年の4年生は3人と少ないが、経験豊富な分、技術面でも精神面でも大きな柱となっている。さらに、2年生ミドルブロッカーの甲萌香を筆頭に、下級生にも力のある選手が多い。

 筑波大は今年、関東大学春季リーグ戦、東日本インカレという主要大会で優勝している。しかし、関東大学秋季リーグ戦では3位と、1年を締めくくる大舞台を前に再び悔しい思いもしてきた。「今年こそ、という思いで1年間励んできました。最上級生として、このままでは絶対に終われないという強い思いがあります。4年生が背中で見せるよう練習に取り組んできたので、絶対に最後の全日本インカレでは日本一になりたいです」と井上は意気込む。

 一方で、昨年度女王の鹿屋体育大も優勝候補の一角からは外せない。昨年チームの主軸を担っていた4年生が数多く抜けたことで、「プレッシャーはありました」と松江愛佳主将(4年)は明かす。しかし、日本一を経験した2、3年生たちが残っていることは、大きな強みになる。中山恭佳(3年)や安田睦実(3年)、白澤明香里(2年)ら攻撃力の高いメンバーを軸に、伝統のレシーブ力を武器に戦う。

 松江は、「昨年とはメンバーも変わって身長が高くない分、スピードを生かしたバレーを目指します。4年生はこれが最後(の大会)。悔いを残さないよう戦い抜きます」と話していた。もしお互いに勝ち上がれば、筑波大と鹿屋体育大は準決勝で顔を合わせることになる。悔しさを知る筑波大か、それとも新生・鹿屋体育大か。因縁の対決は実現するだろうか。

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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