インハイで輝いた、全日本の“卵”たち バレー世代別代表に選出される注目株

月刊バレーボール

2017年のインターハイ、男子は山形、女子は宮城で行われた。写真は21年ぶりの優勝を果たした鎮西高のエース鍬田憲伸(3番) 【月刊バレーボール】

 7月28日から8月1日にかけて、男子は山形、女子は宮城で行われたインターハイ(全国高校総合体育大会)。男女それぞれ56校が全国の頂点を目指して戦う中、全日本のアンダーカテゴリーに選出されている選手たちも全国の舞台で躍動した。ここでは、将来が有望視される“卵”たちを紹介する。

優勝を果たした“火の国”熊本の2枚エース

 男子は全日本ユース代表に名を連ねる面々が、それぞれの高校でエースや主将としてチームをけん引する姿が見られた。

 インターハイで21年ぶり3度目の優勝を果たした名門・鎮西高(熊本)の鍬田憲伸(3年)は、3月のアジアユース男子選手権大会(U−19/以下、アジアユース男子)に出場。全日本ユース男子チームの大会初優勝を味わった1人だ。有明中(熊本)3年時にはJOCジュニアオリンピックカップ(JOC杯)で「JOC・JVAカップ」と「オリンピック有望選手」の個人賞をダブル受賞した経歴を持ち、進学した鎮西高でも1年生時からレギュラー入りを果たした。強烈なスパイクを持ち味にポイントゲッターとして活躍し、主将になった今年は悲願の日本一を達成した。

 鎮西高の2枚看板として、インターハイ制覇に大きく貢献したルーキーの水町泰杜もこれからが楽しみな選手。跳躍力を武器に得点能力に長け、昨年末のJOC杯では熊本選抜を日本一に導いた。中学選抜(当時、菊鹿中)として参加した3月の海外交流試合でも、高さに勝るオーストラリアのユースチームをきりきり舞いさせたのは関係者の中で語り草になっている。
 
 鎮西高に準決勝で敗れたものの、昨年度の春高バレー(全日本バレーボール高等学校選手権大会)に続き、3位となった習志野高(千葉)には中心的存在として上條レイモンド(3年)がいる。ナイジェリア人の父を持ち、身長195センチの恵まれた体格に加え、最高到達点340センチというリーチの長さを生かした攻撃が魅力だ。競技歴は浅いものの、アジアユース男子を経験し、「ここまできたら、もっともっと上のカテゴリーを目指したい」と意気込む。

注目を集めた左利きのエース、海星高の西田

インターハイに初登場し、注目を集めた海星高(三重)のサウスポーエース・西田有志 【月刊バレーボール】

 今大会で一躍、注目の的となったのが海星高(三重)の西田有志(3年)だ。大安中2年生時からJOC杯の三重選抜に選出され、パワフルな左利きのエースとして名を馳せていた。高校生になってからも、国体の選抜チームに選出され、アジアユース男子にもメンバー入り。地元のクラブチームにも在籍してプレーを磨いてきた。

 高校生活ラストイヤーで念願をかなえ、初めてインターハイの舞台へ。その強打は見るものを驚かせ、チームも初出場ながらベスト16入りを果たした。

 ポジションはウイングスパイカーでレシーブにも入り、また左利きながらレフトからスパイクを放つ。全日本のエース石川祐希(中央大)に憧れ、しなやかなスパイクのフォームは、録画したビデオの研究成果だとか。「左利きで、レシーブもできて、スパイクを決められる。そんな選手になりたい」と、その能力をこれからも磨いていく。

 また、鍬田や上條、西田とともにアジアユース男子を経験した東福岡高(福岡)3年生の佐伯聖海(まひろ)も、その大会でベストアウトサイドスパイカーに選出されるなど、世代を代表する存在だ。インターハイでは決勝トーナメント一回戦で海星高と対戦し、西田とは試合前に「打ち合いをしよう」と言葉を交わしていた。試合は2−0で敗れて悔しい結果に終わったが、佐伯は8月18日からバーレーンで行われる世界ユース男子選手権大会(U−19/以下、世界ユース男子)のメンバーに入り、次は世界との戦いに挑む。

 同じく、世界ユース男子には星城高(愛知)の仲濱陽介(3年)も選ばれた。ウイングスパイカーもセッターもこなせる技巧派プレーヤーで、現在はセッターに専念する。試合全体の組み立てを常日頃から考えるようになったといい、その成果が世界ユース男子で発揮されることを期待したい。

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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