雨も味方ディアドラ3連勝で一気の下克上 大胆イン突き、ルメールさすがの達人技だ

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3歳牝馬三冠の最終戦、秋華賞V

上がり馬ディアドラが秋華賞V! 3連勝で3歳秋の女王の座を手に入れた 【スポーツナビ】

 JRA3歳牝馬三冠レースの最終戦、第22回GI秋華賞が15日に京都競馬場2000メートル芝で行われ、クリストフ・ルメール騎乗の3番人気ディアドラ(牝3=栗東・橋田厩舎、父ハービンジャー)が優勝。後方追走から直線馬群を縫うように追い込みを決め、3連勝で最後の牝馬一冠を手中に収めた。重馬場の勝ちタイムは2分0秒2。

 今回の勝利でディアドラはJRA通算14戦5勝、重賞は前走のGIII紫苑ステークスに続き2勝目。騎乗したルメール、同馬を管理する橋田満調教師ともに秋華賞は初勝利となった。

橋田調教師(右)にとっては10年ぶりのGI・11勝目 【スポーツナビ】

 一方、1馬身1/4差の2着には武豊騎乗の4番人気リスグラシュー(牝3=栗東・矢作厩舎)、さらにハナ差の3着にはミルコ・デムーロ騎乗の5番人気モズカッチャン(牝3=栗東・鮫島厩舎)が入線。なお、1番人気に支持された横山典弘騎乗のアエロリット(牝3=美浦・菊沢厩舎)は直線失速し7着に敗れた。

「勝つのは難しいかもと思いました」

雨、重馬場も苦にせずディアドラが直線豪快に伸びた 【スポーツナビ】

 雨を切り裂く末脚一撃。ディアドラが混戦の秋華賞に断を下す差し切り勝ちで、3歳牝馬最後の一冠をもぎ取った。

「後ろから追い込んで先頭でゴールできた。とてもいい気持ちです(笑)」

 名手ルメールも自画自賛のレース。確かにこの秋華賞、ディアドラの動きに注目して見てみると、“さすが”と唸らされるルメールの達人技に舌を巻いてしまう。

 スタートから思い通りのポジションを取れたわけではない。むしろ、「ゲートで出遅れて、スタートが悪かった」とジョッキーが振り返るとおり、序盤で後手を踏んだディアドラは、向こう正面では後ろから4番手の位置取りだった。いかに息の長い末脚自慢のディアドラと言っても、さすがに後ろ過ぎる。これはルメール、橋田調教師も実際にそう口にしており、当のルメールに至っては「京都の内回りのGIで、後ろから差すのは難しい。本当は中団が取りたかったんですけど、このポジションは嬉しくなかった。勝つのは難しいかもと思いました」と、苦戦を覚悟したという。

一か八かの勝負で最内へ

大胆なイン突きから最後の直線は縫うように外へ(ディアドラはオレンジ帽) 【スポーツナビ】

 しかし、ここからのルメールは肝が据わっていた。

「外を回していくのでは厳しい。内からトライしよう」

 京都の内回りコースと言えば、ゆったりと4コーナーを回れる外回りコースと違って、直線入り口は大混雑する難しいコースだ。それだけにイン突きは、一歩間違えればドン詰まりとなって勝ち負けに参加するどころの話ではなくなる大博打。ましてや、これは最高峰のGIレースなのだ。どのジョッキーもよりタイトなコーナリング、厳しいポジション取りをしてくるもの。だが、ルメールはそのリスクをあえて承知のうえで、一か八かの勝負に出た。そして、ルメールとディアドラはその勝負に勝ったのだ。

 7枠発走ながら3コーナーからスルスルと最内に潜り込むと、4コーナーにかけても内ラチ沿いをピッタリ。そして、直線入り口からはそれこそ縫うように外への進路を開拓し、ラスト1ハロンで猛然と追い込みを決めた。

「直線に入っても先頭とはまだ5、6馬身あったので難しいかなと思ったけど、ディアドラはすごくパワーのある脚を使ってくれました。この馬場だったから前の馬が止まったし、ディアドラはゴールまで伸びてくれました。大外を回していたら無理だったと思います」

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