凶暴鎌脚にミルコ興奮「素晴らしい」連呼 ファルクス史上3頭目スプリンターズS連覇

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直線外から一気の差し切り

ミルコ・デムーロ騎乗の1番人気レッドファルクスがスプリンターズSを連覇! 【写真:中原義史】

 秋のJRA・GI開幕戦となるスプリント王決定戦、第51回GIスプリンターズステークスが1日、中山競馬場1200メートル芝で行われ、ミルコ・デムーロ騎乗の1番人気レッドファルクス(牡6=美浦・尾関厩舎、父スウェプトオーヴァーボード)が優勝。中団やや後ろの位置取りから直線外を一気に差し切り、昨年に続く同レース連覇を達成した。良馬場の勝ちタイムは1分7秒6。

 レッドファルクスは今回の勝利で23戦10勝(うち海外1戦0勝)、重賞は2016年GIスプリンターズS、16年GIII・CBC賞、17年GII京王杯SCに続く4勝目。騎乗したデムーロ、同馬を管理する尾関知人調教師ともにスプリンターズSは昨年に続く2勝目となった。

JRA・GIは2勝目、重賞は通算4勝目となった 【写真:中原義史】

 なお、クビ差の2着には岩田康誠騎乗の5番人気レッツゴードンキ(牝5=栗東・梅田厩舎)、さらに半馬身差の3着には石橋脩騎乗の7番人気ワンスインナムーン(牝4=美浦・斎藤誠厩舎)が逃げ粘った。

「後ろからは差せないかもと心配していた」

ミルコは「2連覇」のガッツポーズ 【写真:中原義史】

 ますます磨きがかかった“ファルクス=鎌”の切れ味。この末脚には手綱を取ったミルコ自身、ちょっと驚いてしまったのだという。

「ゲートの出は悪くないんですけど、いつもそのあとが時間のかかる馬。だから、あの位置になったんですが、今日はいつもより後ろ過ぎたかなと思いました。ずっと手応えはすごいあったんですけど、今日は馬場が速いから後ろからは差せないかもと心配していたんです。でも、直線はすごく伸びてくれました。本当に素晴らしい馬です!」

 レース後の共同インタビュー中、「すごい」「素晴らしい」を興奮気味に連呼していた口ぶりからも、レッドファルクスがいかに凶暴すぎるほどの切れ味を繰り出したことがこちらにも十分に伝わってきた。付け加えるなら、同馬を一番良く知る尾関調教師ですら「正直、届かないと思っていました」と明かしたほどだ。それだけに気の毒なのはクビ差2着のレッツゴードンキ。「完全に抜け出したんですけど……あそこまで行ったら勝ちたかった」とガックリ肩を落としていた岩田だったが、これはもう誰に責任があるのではなく、レッドファルクスの鬼脚ならぬ“鎌脚”に脱帽するほかない。

ロードカナロア後の短距離界の新主役

 この日のレースに限らず、昨年のこのスプリンターズSでGIホースの仲間入りを果たしてからのレッドファルクスは“ひと皮向けた”という言葉がぴったり当てはまるくらい、充実のレースを見せてきた。初の海外遠征となった暮れの香港スプリントこそ「調子が良くなかった」とミルコが振り返る通り案外な結果に終わってしまったが、年が明けて帰国後初戦という難しい調整の中でも高松宮記念では3着と地力を見せ、続く1400mの京王杯SCを快勝、さらに距離を延ばしたマイルの安田記念でも0秒1差の3着に奮闘した。ロードカナロアが去った後の短距離界をリードする新たな主役と呼ぶにふさわしい実績であり、安田記念以来4カ月ぶりのレースとなる今回であっても、ファンは1番人気に支持した。

直線大外を一刀両断! この“鎌脚”にはさすがのミルコも興奮気味に「巣晴らしい!」を連呼 【写真:中原義史】

「僕もずっと自信がありました。調教の映像を見て素晴らしい動きだと思いましたし、パドックで乗っても良い状態でした。休み明けでしたけど、それは去年といっしょ。去年よりも長い休みでしたけど、休み明けから走る馬です。だから、連覇はずっと自信ありました(笑)」とミルコ。レース展開は前述した通り、中団やや後方の馬群の中から、最後の直線入り口でスムーズに外に出し、そこからは真一文字の伸びで一刀両断だ。

「すごく手応えがあったので、あとは直線でスムーズに行ければと思っていました。その通りスムーズに行くことができたので、直線の真ん中くらいで『これなら差せる』と思いましたね。馬も僕も同じ気持ちでした。『負けたくない!』。本当に素晴らしい馬です」

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