日本代表、あらためて「ハードワーク」 2年後のラグビーW杯で勝つために

斉藤健仁

世界選抜戦、豪州戦、フランス戦に向けたミニ合宿

2015年W杯で日本代表主将を務めたリーチ マイケル。「ハードワーク」で世界に挑む 【斉藤健仁】

 9月20日で、2019年ラグビーワールドカップ(W杯)の開幕戦までちょうど2年だ。
 ラグビー日本代表を率いて2年目を迎えたジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は「秋にもやりたい」と公言していた通り、春に続いて9月15〜16日、今年5回目となる代表候補合宿「NDS(ナショナルディベロップメントスコッド)合宿」を敢行した。

 日本代表(世界ランク11位)は10月28日に世界選抜戦(福岡)、11月4日に世界ランク5位のオーストラリア代表戦(横浜)、そして11月26日に世界ランク8位のフランス代表戦(フランス・リール)を控え、トップリーグ開催中にも関わらず、各チームの許可を得て3回ほどのミニキャンプを組んでおり、その1回目が今回の合宿だった。

 代表候補として、ほぼ1つのポジションにつき3人の47人(FW28人、BK19人)を招集。ただ過去2年のサンウルブズのメンバーに入っておらず、さらにジェイミー・ジャパンになって初めて代表活動に呼ばれた選手が何人かいた。「大多数は、今回のメンバーから構成する」とヘッドコーチが明言した通り、FB野口竜司(東海大)ら数人の追加招集はあると予想するが、10月末〜11月の日本代表の多くはこのメンバーから選ばれる見込み。

FBはテイラー、藤田を新たに選出

15年W杯以来の代表復帰を目指すFB藤田 【斉藤健仁】

 新しい選手に関しては、まず、3年居住の条件をクリアしたばかりの、2012年のスーパーラグビーでにトライ王に輝いたFBアンドレ・テイラー(宗像サニックス)が初招集された。2月のトップリーグ選抜でもその力を発揮していた通り、テイラーの選出はジョセフHCの中では規定路線だったはず。CTBでもプレー可能だが、カウンターアタック能力に長けており、BKのスコッドに深みを増すことにつながる。

 PR吉田康平(トヨタ自動車)、FL前川鐘平(神戸製鋼)、FB藤田慶和の3人の選出に関しては「昨シーズン、ケガでパフォーマンスを見られなかったので」と指揮官は説明。特にBKの選手に関してはBKコーチのトニー・ブラウンの裁量も大きいため、今シーズン1試合しか出ていない藤田の選出はブラウンの意向も大きいはずだ。2年ぶりにトップリーグに復帰した五郎丸歩(ヤマハ発動機)を選ばず、テイラー、松島幸太朗(サントリー/今回はWTBで選出)、そして藤田という顔ぶれからは、FBにはハイボールの処理とラン能力を求めていることがうかがえる。

ジョセフHC「不動のポジションはない」

経験豊富なSO小野晃征の存在はチームの助けになりそうだ 【斉藤健仁】

 またPRに転向して丸2年を迎えようとしているヴァル アサエリ愛(パナソニック)、帝京大出身の新人LO姫野和樹(トヨタ自動車)、2007年と2015年のW杯戦士であるSO小野晃征(サントリー)、流通経済大出身のルーキーCTBシオネ・テアウパ(クボタ)に関して指揮官は「(トップリーグで)いいプレーをしている。4節が終わって気に入ったプレーをしていた選手や注目していた選手を呼びました」とのこと。

 5月の段階では「11月を終えてメンバーを固定していきたい」とジョセフHCは言っていたが、「私はオープンマインドなので柔軟にやっていきたい。不動のポジションはない」と含みを残した。それでも、W杯まで残り2年という月日を考えれば、今年のパフォーマンスで中軸のメンバーを固定し、来年はそのメンバーにさらなる経験を積ませつつ強化を進め、2019年を迎えたいのが本音だろう。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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