無良崇人が貫く信念、抱いてきた葛藤 プログラムに重ねるスケート人生
スケートカナダ優勝、涙を抑えきれず
前回ソチ五輪の出場を逃した無良は、平昌を目指し新たな4年間に進むことを決断。14−15シーズンはフリーで『オペラ座の怪人』を演じた 【写真:ロイター/アフロ】
「バンクーバーの頃は五輪には興味がなかったんですけど、前回ソチの時にうまくいけば出られるかもしれないという状態になって、やっと実感が湧いて。だけど、『五輪に出られるかもしれない』という気持ちに自分が負けて、シーズンを棒に振りました」
シーズン後、「平昌五輪出場を目指す」と新しい4年間に進むことを決めた。
オフ中には、1998年長野五輪金メダリストのイリヤ・クーリックから指導を受け、4回転の感覚をつかむことと、ベーシックなスケーティングを学んだ。
それから数カ月後の2014年スケートカナダ。フリーで2つの4回転を入れた無良は、ノーミスの『オペラ座の怪人』で173.24点、総合255.81点と、それまでのパーソナルベストを大幅に更新した。苦しかった時期を経て、やっと納得の演技ができたこと、それが評価されたことに、涙を抑えきれなかった。五輪の翌シーズンを、完璧にスタートさせた。
14−15シーズンのスケートカナダでは自己ベストを大幅に更新。苦しい時期を乗り越え、会心の演技を披露できたことに涙を抑えられなかった 【写真:ロイター/アフロ】
「スケートカナダで、フリーの得点がいきなり上がったので、自信になった部分とプレッシャーになった部分とが出てきました」
全日本選手権では5位。四大陸選手権と世界選手権でも思うような演技ができないままシーズンを終えることになった。特に世界選手権のショートでは、信じられないミスが重なり、23位スタートに。フリー12位と追い上げたが、最終順位は16位となった。
「(世界選手権のショートでは)前向きに試合に臨めていなかった感じが、若干あったんです。『なにくそ』って突っ込んでいけなかった」と振り返った。だから、「練習を重ねて自信を持って試合に臨みたい」と、強く感じた。