無良崇人「ユヅと昌磨の存在が活力に」 競技を続けられる理由、平昌への思い
“自分”を意識できていなかった4年前
平昌五輪に向けたシーズンがいよいよ始まる。4年前、苦汁をなめた無良崇人が現在の思いを語ってくれた 【スポーツナビ】
4年前は自分が五輪をつかめる位置にいたからこそ、気持ち的に五輪というものに負けてしまって、シーズンがうまくいかなかった印象があります。その悔しさをバネに、この3年はやってきました。今までは漠然とスケートに取り組んできたのですが、「こうしよう、ああしよう」という意識がソチのあとに芽生えてきた。「もっと成長していかなければ」という気持ちで、1シーズンごとにテーマを決めてやってきています。3年かけていろいろなことに挑戦してきて、本番のシーズンがいよいよスタートするなという気持ちです。
――ソチ五輪に挑戦した4年前のシーズンと、平昌五輪に挑戦する今季。具体的にどのような違いがありますか?
当時はあまり“自分”というものを意識できていなかったと思います。今は自分がどういう演技をしたいかを明確に意識して取り組めていることは、4年前との大きな違いだと思います。
――どういう演技をしたいと思っていますか?
年齢も年齢ですし、若い選手もいっぱい出てきています。そうした状況で4回転など技術的な部分にばかり目がいきがちですが、僕は男らしさというのをしっかりと出しながら、彼らと張り合っていけるような演技をできるように準備をしているところです。
――今のご自身の立ち位置はどのように考えていますか?
ソチのシーズンまでは、自分の上には大ちゃん(高橋大輔)をはじめ、歴代トップを張ってきた選手がいました。彼らの人間としての姿を見ながら、自分もああいう存在になりたいと思っていましたね。それから大ちゃんや織田(信成)くん、小塚(崇彦)くんが引退していき、年齢が上にいけばいくほど、彼らのような存在感のある人間、選手になっていくことを意識しています。
『オペラ座の怪人』を再び演じる
今季は14−15シーズンでも使用した『オペラ座の怪人』を再び演じる。多くの人から「すごく合っている」と言われたことが決断の後押しになったという 【坂本清】
昨年末の全日本選手権ですね。もちろん今までもうまくいく試合、いかない試合は多々ありました。それでもあれだけ調子が良かったのに、(フリーの)後半でありえないミスを連発してしまった。自分の力不足をあらためて痛感したし、良い流れで進んでいたからこそ、その悔しさは大きいものがありました。
――逆にうれしかったことは?
14−15シーズンのスケートカナダと、ソチ五輪前にあった四大陸選手権です。両方とも優勝できた経験が自分の自信になっています。今季のフリーは(14−15シーズンの)『オペラ座の怪人』を新しく作り直して滑るのですが、すごく自分としても良い印象がありました。以前やっていたときよりもさらに良いものができるという自信があったからこそ、今季は挑戦するのですが、いろいろな人から「絶対に良いものになる」と言われたことが、演技の部分を伸ばしてやってきた成果なのかなと感じています。
――この曲に決めた経緯を教えてください。
今まで滑ってきた中で、「この曲をもう一度滑りたい」と思えたのが『オペラ座の怪人』でした。自分が変わろうとし始めたときに使った曲で、シーズンを通して言うとスケートカナダと国別対抗戦が良かったくらいで、割とミスがあったんですけれど、いろいろな人に「すごく合うよね」と言ってもらえていたことが、今回選ぶ後押しになりました。もう一回作ったときに、あの当時を越えられなかったらダメだと思うのですが、越えられるという自信があったので、今季使おうと思いました。
――ショートについては?
今までやっていなかったダンサブルなナンバーで、まだ練習を積んでいる段階なのですが、アレックス・クレアの『The Lateness of the Hour』を使います。4月の段階でフリーは決めていて、(振付を担当する)マッシモ・スカリさんに「オペラ座をやろうと思っている」と伝えたら「じゃあ、ショートは違う方向性でやろうか」と。180度違う感じを表現したいと言っていたので、どういう曲がいいのか考えていたんですけれど、ショートは動きを強く出したようなプログラムにすることをマッシモと決めていたので、それに沿うものを10曲以上聴いて決めました。純粋に格好良さを全面に出したプログラムになっていると思います。