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無良崇人が貫く信念、抱いてきた葛藤
プログラムに重ねるスケート人生

新しい挑戦も、結果を残せなかった2年間

15−16シーズンは振付師を変えるなど、新たな挑戦に打って出た
15−16シーズンは振付師を変えるなど、新たな挑戦に打って出た【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 15−16シーズンは、「五輪プレシーズンと五輪シーズンは、本当に確立したもので試合に臨まないといけない。その前のこのシーズンは、挑戦できる唯一の1年だから」と考え、チャーリー・ホワイトとジェフリー・バトルという、今までとは違う振付師にプログラムを依頼することにした。


 そうしてできたショートの『黒い瞳』。それまでどちらかというと、重厚なプログラムが多かった無良が、曲線的で、上半身と下半身が別々に動く新しい姿を見せた。さらに、不思議な世界観を感じさせるフリー『O(オー)』の衣装は、デザイナーの小篠ゆまさんに依頼。新しい挑戦に満ちたシーズンとなった。


 だが、左足首のケガで練習がままならず、スケートアメリカは10位に。NHK杯と全日本選手権は3位となったものの、すっきりとした演技を見せきれないままシーズンを終えることとなった。


 16−17シーズンは、当初、フリーでサルコウを含めた3つの4回転を入れようと考えていたが、「なかなか思うようにいかない部分が多かった」と言うように、結果を残せなかった。


 全日本選手権のショートでは1位となったものの、冒頭で4回転を2つ決めたフリーの後半、ジャンプが乱れて3位に。総合でも3位となり、6年ぶりに世界選手権も四大陸選手権もないシーズン後半となった。

五輪出場は「ラストチャンス」

いつからか男子選手のお兄さん的存在となっている。宇野(中央)がトリプルアクセルや4回転を跳べるようになったのも、無良のアドバイスによる部分が大きかった
いつからか男子選手のお兄さん的存在となっている。宇野(中央)がトリプルアクセルや4回転を跳べるようになったのも、無良のアドバイスによる部分が大きかった【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 そして再び、五輪シーズンがやってきた。今季のフリーには、3季前と同じ『オペラ座の怪人』を選んだ。同じ曲とはいえ、前回とは振付師も使うパートも同じではない。「怪人の抱えている葛藤と、今まで自分がスケートをする中で悩んでいた部分や、うまくやりたいのにうまくできなかった部分を重ねていきます」。


 すでに一度使っている曲だから、「曲の理解度なども上がるかな」と考えているし、2年前から取り組んできたトレーニングの手応えも感じるようになってきた。「4回転の効率が良くなったというか、理にかなった動きになってきていると思います」と、今季も4回転サルコウを跳ぶ構成で臨むつもりだ。


 いつのころからだろう、日本選手たちの間で、無良は頼りになるお兄さん的な存在となっている。よく知られていることだが、宇野昌磨(中京大)がトリプルアクセルに悩んでいたころ、無良が「4回転を跳んでみたら?」とアドバイスし、その通りにやった宇野は4回転だけでなくトリプルアクセルも跳べるようになったこともある。ジャンプに悩む選手がいたら、今も無良はアドバイスするという。


「『人を蹴落としてまで』という気持ちでやる必要はないかなと思っています。相手をリスペクトできない人って絶対だめだと僕は思っているので。タイムが出るスポーツじゃないじゃないですか、スケートって。総合的なところで点数がつく競技だから。みんなが良い演技をして、それで負けたらしょうがないと思う。全員が良いパフォーマンスをできたら、それは良いことだから」。無良が貫く信念だ。


 ただ、平昌五輪に関しての思いは強い。五輪出場は、そのつもりでいかないと手にできない、と考えている。


「本当に(五輪出場は)ラストチャンスだと思うので、新シーズンは、五輪というものをつかみ取っていきたいと思います」


 3度目の五輪シーズン。26歳。問われる真価を、存分に見せつけるシーズンにする。

長谷川仁美

静岡市生まれ。大学卒業後、NHKディレクター、編集プロダクションのコピーライターを経て、ライターに。2002年からフィギュアスケートの取材を始める。フィギュアスケート観戦は、伊藤みどりさんのフリーの演技に感激した1992年アルベールビル五輪から。男女シングルだけでなくペアやアイスダンスも国内外選手問わず広く取材。国内の小さな大会観戦もかなり好き。自分でもスケートを、と何度かトライしては挫折を繰り返している。『フィギュアスケートLife』などに寄稿。

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