確かな歩みを刻んだ田中刑事の3年間 課題は「4回転と表現、そして自信」
魅せるスケーターへと変貌
着実な成長を遂げてきた田中は、魅せるスケーターへと変貌しつつある 【坂本清】
シニア1年目、初めてのGPシリーズは中国杯。8位だった。全日本選手権の前には腰の分離症に悩まされ、満足のいく成績を残せないシーズンとなった。
だが、シニア2年目の15−16シーズンから、田中は確かな歩みを見せるようになる。
「練習では、どんな形でも全部ジャンプを続けるようにしています。当たり前の練習なんですけど、すごくしんどい。でも、そういう練習を続けていくと、それが安心に変わっていくと思います」
そうして臨んだNHK杯では、「イメージづくりがよかった」という4回転サルコウを、試合で初めて成功させる。
「しっかり4回転を決めることが、ずっと目標でした。それをクリアすることができたので、次の段階に進める感じです」
全日本選手権は4位。四大陸選手権では4回転を決められなかったが、6位に入った。少しずつ評価されてきた手応えがあった。特にフリーの『椿姫』は、その前のシーズンから2季続けて使ったこともあり、長身の田中にぴったりと合い、ノーブルで気品ある姿を印象づけた。加えてこの頃、スケーティングやエッジ遣いなどを長光歌子コーチから指導を受けるようになったこともあり、ステップやプログラムの表現でも魅せるスケーターに変貌しつつあった。
「どの試合でも、得るものは得て、課題も出て、いいシーズンだったなと思います。四大陸にはレベルの高い選手がたくさん出ていて、『もっと勝ちにいきたい』という気持ちが前よりすごく強くなってきました」