激戦区・大阪を勝ち上がるために――履正社・安田尚憲、最後の夏への覚悟

沢井史

開会式はトップを切って行進

夏の高校野球大阪大会の開会式で健闘を誓い合う履正社の若林と安田主将、大阪桐蔭の福井主将(写真右から) 【写真は共同】

 7月8日、京セラドーム大阪で行われた夏の高校野球大阪大会の開会式で、履正社は前年優勝校として176校のトップを切って行進した。

「こうやって先頭で行進できて、(夏に向けて)実感が湧いたというより昨年の先輩のお陰でいい経験をさせてもらいました」

 もちろん、“この夏も最後(閉会式)にまた行進したい”という思いを抱いているのだろうが、開会式を終え、こう冷静に話す安田尚憲の表情の向こうには、この夏に対する“覚悟”がひしひしと伝わってくる。

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履正社・安田の素振り動画

1球で仕留めるための打撃改造

 準優勝したセンバツ以降、大阪桐蔭と決戦を争ったことで大阪勢にますます熱視線が注がれるのかと思いきや、意外にも周囲は静かだった。春季近畿大会で優勝した大阪桐蔭に対し、履正社は府大会の5回戦・東海大仰星戦に8対9と敗退し、以降は練習試合を重ねる日々。

 だが、安田自身はセンバツ以降、タイミングの取り方やフォームの修正に余念がなかった。もちろん、最高の形を求めていたことが理由で「もっと確率を上げられるようになりたい」と1球でどれだけボールを“仕留め”られるかを念頭に置き、細部にこだわりながら打撃改造に取り組んできた。現在の高校通算本塁打数は59本で、センバツ以降、増えたのは9本。

 昨年は春先から夏にかけてホームランの本数を伸ばし続けたことが脚光を浴びるきっかけとなったが、「去年は何も考えずに打っていたし、甘いボールが来る頻度もマークのされ方も違いました」と本人。それに対し、最上級生になると周囲の注目度が格段に上がった。だが、安田はそれをむしろパワーに変えてきた。

「見ていただいている人が多い分、やりがいもあったし、モチベーションも上がりました」

 同世代のスーパースター・清宮幸太郎(早稲田実)と対比されてきたことも、自身の活力の源になっている。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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