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大河チェアマン「稼いで未来へ投資する」
Bリーグ初年度を振り返る 経営編(2/2)
経営をテーマに大河チェアマンに初年度を振り返ってもらい、今後の発展に向けたアイデアと課題を語ってもらった
経営をテーマに大河チェアマンに初年度を振り返ってもらい、今後の発展に向けたアイデアと課題を語ってもらった【(C)B.LEAGUE】

 5月末に2016−17シーズンを終えたBリーグ。クラブ以上に大きな変化を遂げたのがリーグ本体だ。社員も売上もゼロの状態から社団法人がスタートしたのは15年4月。つまりBリーグは2年強で今の規模に成長している。


 2年目以降の失速を懸念する声もあるだろうし、そもそもビジネス的には開拓の余地が存分に残されている。大河正明チェアマンのインタビュー後編では、リーグ発展に向けたアイデアと、逆に発展を妨げる課題の両面について述べてもらった。


 Bリーグの日程編成や成長を難しくしている大きな課題がアリーナ問題だ。17−18シーズンのB1は東地区に昨シーズンの8強のうち5チームが集中する極端な編成になったが、仮にリーグの再編成を行うにしても「アリーナ問題」で多くの選択肢が奪われるという。(取材日:2017年6月26日)

リーグ運営法人は約50億円の収入見込み

リーグの運営法人は「50億円近くの収入になると見込んでいる」と大河チェアマンは明かした
リーグの運営法人は「50億円近くの収入になると見込んでいる」と大河チェアマンは明かした【スポーツナビ】

――15年4月の法人発足当初から、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ運営母体)の規模はどのように推移していますか?


 元々は年間20億円くらいのお金を集めて、そのうちいくらかチームに還元できればいいな、くらいのことを川淵(三郎/初代チェアマン)さんと2年前の4月に話していたんですよ。従業員もゼロだし、売り上げもゼロから始まっていた。だからどこまでいくか全く読めなかったんです。今期の着地は期ズレなどがあり、まだはっきりとは言えないのですが、50億円近くの収入になると見込んでいます。


――ソフトバンクグループと大きな契約を結んだ効果、影響はいかがですか?


 正直に言うと、スポンサー料と放映権料が収入の中で2本柱ですね。この時代は地上波でスポーツを放送することが減ってきていて、インターネットTVをどうやって普及させるか、視聴してもらうかというのがスポーツ界にとってとても大切です。そういう中でソフトバンクグループのスポナビライブに支援していただけて、放映権料でメドも立ったのは大きな話でした。


――ここは伸ばさなければいけない、収入を増やさなければいけないという分野はありますか?


 当面は放映権料と協賛金、いわゆる広告料収入がメインになってくると思います。ただ僕らは映像を自分たちで制作し、著作権を持っています。それを利用して、スポナビライブさんとうまく共存しながら、自分たちでメディアを持つようなビジネスをするという発想もあります。


――グッズの企画や販売を徐々に自前化していくということですか?


 話が大上段になりすぎるかも分からないですが、5.5兆円が今のスポーツ産業のGDPだと言われているんです。ところが野球が2000億円弱、サッカーが1000億円強。この2つで大体3000億円になります。われわれバスケ界が200億円なのですが、あとはバレーやラグビーなどいろいろ足しても4000億円くらいです。スポーツをコンテンツとして持っている人の総売り上げが、5.5兆の中の1兆円はないことは確かです。


 スポーツ産業と言われている中のどこで収入が上がっているかと言ったら、スポーツのシューズやウエア、スポーツ施設の利用料などといったコンテンツホルダーの周辺です。本来はコンテンツを持っている僕らが(周辺分野も)やればいいんじゃないかという発想があるかもしれないですよね。


「Bマーケティング」という株式会社を作りましたが、そういったところの人材を増強して、われわれ自身で稼ぐ力をつけていく必要性はすごく感じています。僕らの中核はバスケの競技力とコンテンツ力を高めて、たくさんの人に来てもらう見てもらうことですが、それがしっかりしてくれば周辺にビジネスチャンスがまだまだあるんじゃないかなと思っています。


――部門ごとの人材配置の現状と、今後についてはいかがですか?


 今は日々の試合運営、総務経理といったところに人を置かないと回らないという実情があります。一方で、これから投資していくのは稼ぐ分野でしょう。あとBリーグを核として(選手や指導者の)育成をしていく部分に力を入れたいと思っています。BリーグのU15も「決まりができたからとりあえず持つ」というクラブが多いのですが、U15のチームから選抜チームを作り海外遠征に行くとか、国際交流を深めるとか、そういったところに本来はお金を投資したいと思っています。


 千葉ジェッツから島田(慎二)さんに副理事長として来てもらって、もちろん(Bリーグ自体の)事業のことも期待しているんだけれど、各クラブが稼げる体質を作るという狙いが一番大きいんです。クラブが(配分金などがなくても)自立できるなら、リーグで稼いだお金は10年後につながるような投資に回していきたい。そのためにもクラブが自主自立の状態なる、リーグはそれに向けてしっかりサポートしていくことが、2年目からの大きな課題の一つだと思います。

アリーナの指定管理を取るクラブが出てくれば強い

「バスケにも指定管理を取るクラブが出てくれば強い」と大河チェアマン
「バスケにも指定管理を取るクラブが出てくれば強い」と大河チェアマン【松岡健三郎】

――琉球ゴールデンキングス、栃木ブレックスは大型アリーナ建設の計画がすでに進んでいます。施設の整備とBリーグの発展にはどういう関係があるとお考えですか?


 アリーナは親会社も含めて自分で持つことができるんです。サッカースタジアムを例にすると、ガンバ大阪が使っている市立吹田サッカースタジアムは140億円でできて、100億円くらいはパナソニックを中心とした法人が出しました。今は建設単価も上がっていますが、それでもその半分とか、100億円弱で十分に1万人近いアリーナはできると思います。自分たちで、民間の活力でというのはそういうことです。鹿島アントラーズや東北楽天ゴールデンイーグルス、横浜DeNAベイスターズのように、バスケにも指定管理を取る、事業運営をクラブが任せられるところが出てくれば強いですよ。


(NBAニューヨーク・ニックスのオーナーである)マディソン・スクエア・ガーデンのように、アリーナを運営している会社が逆にクラブを持つという発想もある。そうなってくると日本のバスケ界は飛躍的に大きくなってくると思います。


 サッカーは天然芝のピッチが毎日稼働しないから苦しんですが、野球とバスケは稼げるアリーナ(スタジアム)なんです。ドーム球場やバスケのアリーナであれば、毎日活用できます。そこは事業を大きくするチャンスかなと思っています。


――今は首都圏のアリーナ問題が深刻で、需要に供給が追い付いていない状況です。


 アンバランスですね。


――先ほども予備節確保の話が出ましたけれど、アリーナ問題はBリーグがカーディング(試合の編成)に苦労している一因ですね。


 どこも厳しいですよ。特に(レバンガ)北海道。あと(アルバルク)東京がしんどいですよね。ここにきて代々木第一、第二、東京体育館、有明コロシアムがすべて改修に入って、「どうするんだ」という状況です。僕らだけでなくバレーボールや卓球も困っていると思います。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

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