大潮宝塚をシャケ(避け)トオル? 「競馬巴投げ!第147回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

地底人の立場になってみろ!

[写真1]ミッキーロケット 【写真:乗峯栄一】

 宝塚記念のJRA・CM、若い女の子(高畑充希?)が美容室で美容師に一生懸命、競馬場について話す。

「ワーッと歓声があがって、わたし、ずっと最終コーナーを見てたの。でも馬が来ないのよ。来ないんだけど、歓声はどんどん大きくなるし、え?と思って反対側見たら、そっちの方から馬が来てるのよ」

 最後に「競馬場には右回りと左回りがあります」というテロップが出て終わりになる。ダービーやオークスをやった東京競馬場は左回りだが、宝塚記念が行われる阪神競馬場は右回りだということが言いたいのだろう。

 ちょっと待てと言わねばならない。もう20年にも渡って言い続けているんだが、誰も取り上げない。しかし誰も取り上げないから、ぼくは言い続けないといけない。

 地底人の立場になってみろ!

「競馬場っていうのはね、どこも左へ左へと回ってコースを一周するの。それは変わらないの。それは変わらないんだけど、東京競馬場は地面に立って見るのに、阪神競馬場や京都競馬場は地下に掘られた広い観客席からガラス張りのコースを見上げるのよね。馬のヒヅメやお腹ばかり見ることになるの。あれは不思議だわ」

 高畑充希のCMはこういうバージョンも作っておかないといけない。

○「競馬場には左回りと右回りがある」←これは「いつも地上で観戦する」という前提による。

○「競馬場には地上観戦競馬場と地下観戦競馬場がある」←これは「競馬場は常に左回りである」という前提による。

 こういう二種類のテロップを用意しないといけない。

ハワイは年間6センチずつ日本に近づいている

[写真2]スピリッツミノル 【写真:乗峯栄一】

 大事なことは「前提は何か」ということだ。

 地球上の大地はどっしりとして動かないなどと思われているが、地下から吹き出てくる熱いマントルの対流によって溶岩の流れのように、いつも流動している。

「地表は動いている」という前提を忘れてはいけない。

 ハワイ諸島は太平洋プレートが日本海溝に沈み込む運動によって年間6センチずつ日本に近づいている。

 ハワイまでは約6千キロメートルあるからハワイ諸島が日本列島に到達するには1億年かかる。航空会社に行って「ハワイまでどれくらい時間がかかりますか?」と聞くと「飛ぶ飛行機ですか? じっとしている飛行機ですか?」と聞き返されないとおかしい。

「はあ?」と怪訝な表情をしていると、「飛ぶ飛行機なら8時間、じっとしている飛行機なら1億年かかります」と返答される。

「地表は常に動いている」ということを頭に入れて旅行しないといけない。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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