大潮宝塚をシャケ(避け)トオル? 「競馬巴投げ!第147回」1万円馬券勝負
「前売りですか? 後売りですか?」
「ハワイまで何時間かかりますか?」と聞かれたら「飛ぶ飛行機ですか? じっとしている飛行機ですか?」と反問するという、この呼吸が大事だ。
「ここ、宝塚記念の馬券買えますか?」と競馬初心者が聞いてきたら、阪神競馬場の案内おねえさん、ぐっと顔を近づけて「前売りですか? 後売りですか?」と小声で聞く。
「え? どういうことですか?」と初心者がドギマギしたら要注意だ。この初心者はまだ前提を把握していない可能性がある。
馬券には二種類ある。
○予想して的中させる馬券
○ひとをだまくらかして的中させる馬券
これが前提だ。
「そうですか、後売りですか……」とおねえさんはしばらく俯いて悩む。「後売りはねえ、わたしたちも初心者の人にはあまりお勧めできないんですけどね……、まあ、とりあえずこちらへ」とおねえさんはフロアの端の黒カーテンで仕切られた“後売り特別室”に案内する。
「後売りは一律百万円、事前供託していただきます。投票は三連単一点のみでレース後一分以内の投票、時間遅れはすべて供託金没収となります」と黒服の“後売り”ディーラーが事務的に説明する。
“後売り特別室”の客たちは目を皿のようにしてレースを見つめる。ゴール時の大歓声にも耳を貸さない。
後売り馬券はめったに外れが出ない。外れが出なければ元返しだ。ちゃんとレースを見ていなかったり、投票用紙に書き間違いする人間が出て初めて配当にありつける。頭を抱えている人間がいたら、それは絶好のチャンスだ。手負いのガゼルに群がるハイエナたちのように“頭抱え人間”をおじさんたちがぐるっと取り囲む。
ひとをだまくらかして的中させる馬券[後売り馬券]も密かに売られていると噂を聞いている。
それでもキタサンは勝つだろうか
雨、風はもちろん大きな影響を与えるが、磁場、月の引力(=満ち潮、引き潮の潮汐力)、太平洋プレートの移動、グリーンランドの南から沈降し、アフリカ南端から北太平洋アリューシャン列島にまで届く深層海流の影響、それら一つ一つは小さな影響かもしれないが、時として、それらが重なることがある。
どんなにいままで強いキタサンブラックであっても、全部重なって一列に並べば、それら自然の力には対抗できない。特に今週土曜から日曜に掛けては「大潮」だ。月の引力が最大になる。大潮に大雨が加われば、いままでにない力を必要とする。さて、それでもキタサンは勝つだろうか。