アジア制覇と引き換えの徹底マーク 平野美宇は包囲網を突破できるか?

月刊『卓球王国』

世界の卓球界で一番ホットな存在

平野のアジア選手権優勝は、世界の卓球界へ大きな衝撃を与えた 【写真は共同】

 現在、ドイツ・デュッセルドルフで開催されている卓球の世界選手権個人戦。リオデジャネイロ五輪での活躍に続き、今大会でも日本選手の上位進出に期待がかかるが、その中で最も注目を集めるのが17歳の平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)だ。

 昨年10月の女子ワールドカップでの史上最年少優勝に始まり、今年1月の全日本選手権では大方の予想を覆し、日本女子のエース・石川佳純(全農)を圧倒しての史上最年少優勝。

 そして極めつけは4月のアジア選手権での史上最年少優勝だ。リオ五輪金メダリストの丁寧ら中国勢を3タテしての優勝が世界に与えた衝撃は大きく、長く王座に君臨し続ける中国に対しての世界の空気感さえも変えつつある。今、彼女は、世界の卓球界で一番ホットな存在と言っても過言ではない。

世界最速クラスの両ハンド「ハリケーン」

新たに身につけたプレースタイルによって、平野(左)は中国勢をも押し込む武器を手に入れた 【写真は共同】

 平野がアジア選手権制覇を果たした大きな要因としては、1年半ほど前から取り組んできたプレースタイル改革がある。安定したラリーで粘って得点を「待つ」スタイルから、速さとボールの威力で相手を圧倒し、得点を「奪う」スタイルへのモデルチェンジ。平野本人も目標と語る中国の劉詩ブン(2013、15年世界選手権準優勝)のようなプレーだ。

 成績が出なくとも、迷いを捨てて我慢強く取り組んだモデルチェンジで、アジア選手権では本家・中国を圧倒。鋭くコースを突く平野の連打に中国選手が対応できない場面が多々見られた。ITTF(国際卓球連盟)が“ハリケーン”と名付けた世界最速クラスの両ハンドは、中国の牙城を崩す「突破力」を秘めている。

 また、フォアハンドが強化され、もともと得意であったバックを避けて相手がフォアに返球してきても、きっちりコースを突いて対応できるようになった。コースへの打ち分けも多彩になり、バックとの連係もアップ。フィジカル面でもラリー中に崩されることのない体の使い方を覚えたことで、しっかりと振り切ることができるようになり、穴のないスタイルに進化している。

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