ルメール神技炸裂!今度は日仏ダービーV 3歳頂点レイデオロ、秋は古馬路線も視野
厩舎ゆかりの血統でつかんだ最高峰タイトル
「藤沢先生にダービーをプレゼントできたことが嬉しい」とルメール 【写真:中原義史】
オークスで史上2人目のJRA重賞100勝を達成し、タイキシャトル、シンボリクリスエスなど数々の名馬を世に送り出してきた日本を代表するトップトレーナーの藤沢和雄調教師だが、ダービーはこれまで2度ある2着が最高着順。節目の開業30年目にしてついに競馬界最高峰のタイトルに手が届いた。
「いつかは勝てると思ってここまでやってきましたが、思った以上に時間がかかってしまいました。ここで勝てて本当に良かったと思いますし、競馬ファンや関係者の皆さんには『またか……』と言うほどに負けて迷惑をかけてきましたからね。この1勝じゃまだ間に合わないかもしれないですが、これからレイデオロをダービー馬に相応しい競走馬にしていければと思います」
レイデオロの祖母レディブロンドはあのディープインパクトの姉で、藤沢和厩舎からデビュー。わずか6戦で引退してしまったが、そのうち5勝を挙げ、唯一敗れたレースはGIスプリンターズSの4着という才女だった。そのレディブロンドとシンボリクリスエスとの配合で生まれたラドラーダもまた藤沢和厩舎から競走馬デビューし、後にレイデオロの母となる。つまり、祖母の代から続く厩舎ゆかりの血統で、藤沢和調教師はダービーの栄冠を手にしたのだ。いつも飄々とした受け答えをするトレーナーは、この日もそのように見えたのだが、いや、今回ばかりはいつも以上に言葉に嬉しさがあふれ出ていた。
「おばあちゃんの代から期待されていた馬で、レイデオロが生まれたときも牧場からは素晴らしい馬だと聞いていました。だから、もしかしたらと思っていたんです。おばあちゃんもお母さんもよく知っている馬ですからね、本当にこの馬でダービーを勝てて感謝しています」
秋は菊花賞、古馬路線との両にらみ
秋は菊花賞、もしくは天皇賞・秋、ジャパンカップの古馬路線と両にらみになりそうだ 【写真:中原義史】
「2400mを上手に走ってくれたので、これ以上の長い距離についてはまだ分かりませんが、3歳馬のレースも古馬のレースもありますから、よく考えて、オーナーやジョッキーと相談しながら決めていきたいです」
ソウルスターリングのときもそうだったが、淀のクラシック最終戦・菊花賞、もしくは東京の天皇賞・秋、ジャパンカップ路線との両にらみで秋を見据えることになりそうだ。かつてバブルガムフェロー、シンボリクリスエスなどで3歳馬ながら天皇賞・秋挑戦の実績を作ってきた名伯楽だけに、ソウルスターリングとの使い分けも含めてその選択に注目が集まる。
いずれの路線を進むにせよ、今年の3歳牡馬は話題性という面では牝馬に後れを取っていたからこそ、レイデオロには馬名通り『黄金の王』として、キタサンブラック、サトノダイヤモンドに続くこれからの競馬界を引っ張るトップホースとして、存在感を増していってほしい。
相棒のルメールも「ポテンシャルの高い馬。日本でも世界でも活躍する馬になってほしい」と、大きな期待をかけている。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)