ルメール神技炸裂!今度は日仏ダービーV 3歳頂点レイデオロ、秋は古馬路線も視野

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超スローペース、向こう正面で一気に仕掛けた

超スローペースの中、ルメールは道中でレイデオロを後方から一気に2番手にまで上げ、そこから鮮やかに抜け出した 【写真:中原義史】

 ポイントは、レースを見た人ならお分かりのとおり、バックストレッチでの一気の仕掛けだ。今年のダービーは、ベテラン横山典弘が作った幻惑ペースで前半1000mの通過がなんと1分3秒2。これは過去10年のダービーで最も遅い、超がつくスローペースなのである。2着スワーヴリチャードに騎乗した四位が言った。

「自分としてはあの位置は理想どおり。でも、もう少し流れてほしいなとは思ったんです。実はレース前に、もしかしたらこういう流れになるかな、って思っていたんですよね。その通りに遅くなっちゃって……遅いと思ったときにクリストフが上がっていったんですよね」

 ペースが上がらず、と言って誰もペースを上げようとしない中、真っ先に動いたのがレイデオロだった。このときの心境を、ルメールはこう振り返った。

「レイデオロはスタートがあまり速くないので、いつも後ろのポジションになるんですが、今回もそれで同じポジション。でも、300mくらい進んだところで、ペースが遅すぎると思ったんです。だから、特にレース前から考えていたプランではなかったんですが、前に行こうと思いました」

 馬にとっては初の2400m、しかも、一発狙える穴馬ではなく、プレッシャーのかかるダービーで2番目に支持を集めている人気馬。今までラストの末脚で勝負していた馬を、いくらペースが遅いと感じたとはいえ、この大舞台でレース途中から仕掛けて先行させてしまう度胸は並大抵ではない。そして、レース中に下手にペースを変えて馬を動かしてしまうと引っ掛かってしまう恐れもあるのだが、ルメールは完全にレイデオロを手の内に入れていた。このあたりの技術、手腕はさすがとしか言いようがない。

「馬もすごくリラックスしていて、そのまま前につけることができました。途中で動いていくことには全く心配していませんでしたよ。マスコミの人たちにも何度も言っていましたけど、2400mをこなせる自信がありましたからね」

悔やむ松山「何もできなかった」

レイデオロが突き抜ける中、二冠を狙ったアルアイン騎乗の松山(左)は「何も出来なかった」 【写真:中原義史】

 1コーナー後方5番手から、向こう正面では一気の先行2番手にジャンプアップ。そこからさらに逃げる横山典マイスタイルを突っつくのではなく、今度はこの超スローペースに乗っかり、じっかり脚をタメる選択をした。ここでルメール&レイデオロに一緒について上がってきた戸崎圭太&ペルシアンナイト、ミルコ&アドミラブルが後ろからもっとペースを押し上げていけば、またレースの流れは変わったかもしれない。だが、この2頭や、皐月賞同様に好スタートから好位3番手を確保していた松山&アルアインも向こう正面からは動かなかったため、レースのペースは結局上がらないままだった。

 つまり、レイデオロにとっては2番手にいながらにして、得意の上がり瞬発力勝負に持ち込める下地が整いつつあったのだ。

 このレース展開に悔やんだのが、二冠を狙っていた松山だった。

「スタートも良くて道中も最高のポジションだと思ったんですが、その後に自分が何もできなくて、上がりの勝負になってしまいました。馬の持ち味を生かすことができなくて……本当に申し訳ないという言葉しか出てきません……」

 憔悴しきった表情で、最後はもう「すみません」と謝ることしかできなかった。皐月賞ではガッツあふれる騎乗で、JRA待望の平成生まれ初のGIジョッキーとなった若武者だったが、このダービーという、皐月賞を上回る大舞台では経験の差が出てしまったのだろう。松山にとっては酷な敗戦となったが、この経験がきっと将来、もう1つ上のジョッキーとなるための糧となるはずだ。

 一方、もがく皐月賞馬を尻目に、優勝の行方は2頭に絞られていた。2番手から堂々抜け出したレイデオロと、外から迫る四位&スワーヴリチャードだ。

「ペルシアンナイトとかアルアインがもうちょっと前を捕まえに行ってくれるかと思ったんだけど、捕まえに行ってくれなかったから自分で動くしかなかった」

 ダービー2勝ジョッキー・四位の判断もまた、この状況ではベストだっただろう。しかし、ただ1頭、レイデオロに迫る勢いで迫ったものの、2番手から33秒8で上がられてはここまでが限界。「直線はいい脚で来ていたし、並ぶまで行くかなと思ったけど、そこまで行かなかった。まあ、完敗と言えば完敗だよね。仕方ないです」。悔しさをにじませながらも、ベストを尽くした仕事人の表情で、四位はそう答えた。

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