待望のデビューを迎えた“Xファクター” ラグビー日本代表、期待の若手が躍動

斉藤健仁

「セレクションマッチ」で韓国に連勝

若手中心の日本代表が韓国代表に連勝。SO山沢も待望のデビューを果たした 【斉藤健仁】

 ラグビー日本代表の中軸メンバーで編成されているサンウルブズのメンバーが、ニュージーランド(NZ)、アルゼンチン遠征に出かけている一方で、若手を中心とした日本代表は、4月から5月にかけて韓国、香港とホーム&アウェーでアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)を戦っている。

 2019年に日本で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)まであと2年ということを考慮すると、若手選手にとってARCで、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)にインパクトを与え、6月に行われる世界ランク4位のアイルランド代表戦のスコッドに入ることは自国開催のW杯出場に向けて、大きな一歩となろう。

「セレクションマッチ」の意味合いも持った今年のARC。4月22日の初戦はアウェーで韓国代表に気持ちの面で劣り、苦戦したものの47対29で勝利。だが4月29日、ホームの東京・秩父宮ラグビー場で行われた韓国代表戦は12トライを挙げて80対10と快勝、注目の若手選手たちが躍動した。

エディー氏が期待していた山沢が代表デビュー

滑らかな加速でディフェンスラインを突破する 【斉藤健仁】

 ファン、メディアの耳目を集めたのは、やはり22歳のSO山沢拓也だ。エディー・ジョーンズ前日本代表HCにもその才能を評価され、高校3年生で日本代表合宿に参加。2度の左膝のケガがなければ、2015年W杯に出場していた可能性もあった。

 山沢は、昨年度は筑波大4年生ながら、トップリーグのパナソニックでのプレーを選び、大きな話題を呼んだ。すでにトップリーグのプレーオフや日本選手権でもプレーをし、ハイランダーズ(NZ)への短期留学も経験、一回りも二回りも大きくなっていた。山沢は後半10分に登場し、足かけ5年で、ついに初キャップを獲得。柔らかいパス、そしてサッカー仕込みの正確なキックでゴールは5本すべて決めた。そして、何よりも本人が「武器」と語るランで見せた。

 ただ、13分は流れの中で、34分はスクラムからゲインしたものの、パスを投げられずトライを演出できなかった。そこは本人も自覚しており、「(自己採点は)40点くらい。(抜けた後)良いタイミングで首を振れなかったので味方が見えずパスを出せなかった。もっと簡単にトライを取れた部分もあったかも」と反省した。

山沢「細かいところを勉強して成長したい」

2019年W杯で日本代表の司令塔を務める可能性も 【斉藤健仁】

 ジョセフHCも山沢に関して「トップリーグや今日の試合でポテンシャルを見せている。ただ初キャップだったので自分でトライを取りにいき過ぎた。まずチームファースト。そのあたりを向上させないといけない」と注文をつけつつ、「ビッグゲームに勝つ、『Xファクター』を間違いなく持っている。これまで以上に成長すると良い選手になる」と、今後の活躍に太鼓判を押した。

「Xファクター」とは直訳すれば「未知なる要素」ということになるが、試合を決める高いポテンシャルを持っている、という解釈となろう。ちなみに、ジョーンズ前HCがこの言葉を使ったのは、4年間でNo.8アマナキ・レレィ・マフィ(NTTコミュニケーションズ/レベルズ)に対して一度きりだったことを考えると、個々の選手の評価をしないジョセフHCの最大限の期待の表れでもある。

 山沢は2019年の話を振っても「先のことは考えられない」と答える一方で、試合3日前には最後までキックの練習に打ち込むなど、「細かいところを勉強して成長したい」と貪欲な姿勢を見せている。所属するパナソニックと日本代表のラグビーは共通している部分も多く、2019年には、現在、日本代表を引っ張っているSO田村優と並ぶ存在になる可能性も大いにあろう。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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