待望のデビューを迎えた“Xファクター” ラグビー日本代表、期待の若手が躍動
ジョセフHC「松田はどこでも起用できる選手」
松田は「高校2年生以来」というインサイドCTBでプレー 【斉藤健仁】
本人も「SOにこだわりたい気持ちがある」というものの、ジョセフHCは「松田は良いラグビー選手で、バックスならどこでも起用できる選手。10番としての能力はわかっていますが、ほかのポジションもできますし、ユーティリティーな選手はコーチにとっては貴重」とインサイドCTBとして起用を決断した。
「高校2年時の高校代表以来の12番」という松田は、前半はSOとのコミュニケーションが取れず、ディフェンスで相手に抜かれたシーンもあったが、攻撃ではボールキャリアとして前に出て、流れの中ではSOの位置に入ってゲームを動かし、タックルや接点で体を張り続けた。後半5分のトライは、その前に前に出るタックルで相手にプレッシャーをかけていたと思ったら、味方がターンオーバーした後、すぐにフォローに入り、50mを走り切ってトライ。やはり、フットボーラーとしての才能の高さを感じさせた。
松田「背伸びする必要もないし、今できることを」
松田の万能性を高く評価するジョセフHC 【築田純】
また6月のテストマッチ、そして2019年W杯に向けて松田は「チームのやろうとしている中で自分の役割をしっかり理解して遂行し、どう結果を残すのかが大事。背伸びする必要もないですし、今できることをやるのが一番の近道、かといって硬くなり過ぎることも違う。良いマインドを持ってやっていきたい」と足下を見つつも先を見据えた。
ジョセフHCは万能BKとして松田を高く評価しており、ベンチに入れておけば指揮官としては安心できる存在だろう。今年度からパナソニックでプレーする本人は10番にこだわる姿勢を見せているが、私見では、やはり10番よりも12番の松田の方に魅力を感じてしまう。
ジョセフHC「選手たちを見極めているところ」
24歳の流主将(中央左)が率いる日本代表が、19年W杯出場を目指して切磋琢磨している 【斉藤健仁】
さらに、トップリーグ、そしてサンウルブズでスーパーラグビーを経験した23歳のHO坂手淳史(パナソニック)、同じく23歳のNo.8松橋周平(リコー)、そして24歳のSO小倉順平(NTTコミュニケーションズ)の3人は格の違いを見せた。サンウルブズ組でもある若手はスーパーラグビーの経験が「自信になった」と口をそろえ、トップリーグで経験を積んで、サンウルブズで飛躍し、大きな成長曲線を描いていると言えよう。
2019年W杯に向けて、サンウルブズも含めて多くの若手選手が可能性を感じさせていることは喜ばしい限り。チームジャパン2019総監督の職にも就いているジョセフHCが、大学やトップリーグだけでなく、サンウルブズと平行して「NDS(ナショナルディベロップメントスコッド)合宿」と呼ぶ日本代表候補合宿を20日間行い、ジョイミー・ジャパンの戦い方を理解させつつ、選手を育成、強化してきた証であろう。
指揮官に「ARCに出場している選手から、2019年に何人くらい残ってほしいですか?」と少し、意地の悪い質問をぶつけてみると、ジョセフHCは「そこはまだわかりません。選手たちはポテンシャルを判断して呼んでいます。現在、見極めているところです。成長を見ていきたい」と言うにとどめた。
日本代表は「層が厚くない」と語っていたジョセフHCだが、嘆いているばかりではなく、すぐに行動に移し、選手層を厚くするための方策を講じている最中である。ジェイミー・ジャパンの戦い方を理解した選手が増えて、その中でポジション争いをし、切磋琢磨していくことこそが、2019年の栄光につながっていく。