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重圧も力に、成長遂げた19歳・阿部一二三
柔道界期待の選手から“日本のエース”へ
世界選手権代表に選ばれた19歳の阿部一二三。期待の選手から、日本のエースへ。五輪出場の夢へ向けて、日々成長を遂げている
世界選手権代表に選ばれた19歳の阿部一二三。期待の選手から、日本のエースへ。五輪出場の夢へ向けて、日々成長を遂げている【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 2017年ブダペスト世界柔道選手権日本代表最終選考会でもある4月1、2日の全日本選抜柔道体重別選手権で、19歳の阿部一二三(日本体育大)が男子66キロ級で2連覇を成し遂げ、念願の世界選手権への挑戦権を手に入れた。

「やっと東京五輪へのスタートラインに立てたのかなと思います」

 大会後、ホッとした表情に笑みを浮かべて話した。

高校生で講道館杯V 高まる期待とプレッシャー

 小学3年生から柔道に取り組んだ阿部が、頭角を現しはじめたのは中学2年生のとき。全国中学生大会の55キロ級で全国大会初優勝を飾ると、翌年の同大会、60キロ級をオール一本勝ちで優勝。神港学園神港高校に入ると、階級を一つ上げ、2年生の全日本柔道カデ体重別選手権、全国高校総合体育大会、ユースオリンピック、全日本柔道ジュニア体重別選手権などの王座を総なめにし、ジュニアカテゴリで圧倒的な力を見せつけた。さらに同年度の冬にはシニアカテゴリの講道館杯全日本柔道体重別選手権を男子史上最年少で、グランドスラム東京も史上最年少で優勝。袖釣り込み腰や、背負い投げなどの鋭い切れ味の技を武器に、66キロ級期待のホープとして注目を集めた。


 しかし、当時の心境は「周りからの期待やプレッシャーを高校生のときは受け止めきれなかった」。数々のタイトルを獲得し脚光を浴びる一方で、苦しみも抱えていた。

リオ五輪出場ならず……「完全に押しつぶされていた」

 高校3年生で迎えた15年11月の講道館杯全日本体重別選手権では3位にとどまるなど、12月から始まる国際大会の派遣選手には選ばれず。

「完全に押しつぶされていました。だから成績も思うように出なかったのかなと思います」

 翌16年に行われるリオ五輪代表になるためには、国際柔道連盟(IJF)が主催する大会で付与される世界ランキングを決めるためのIJFポイント獲得が必須条件。阿部のリオ五輪代表はこの時点で、ほぼ絶望的になった。


 阿部が常々、口にしていた五輪出場への夢。手が届きかけていたリオでは出場かなわず「悔しいです。やっぱり出たかった」と振り返ることも。それでも「とにかく勝ってトップに居続けなければ」と、すぐに気持ちを切り替え、東京五輪へ向けて準備をはじめた。大きな舞台に立つため、まず目標に据えたのが世界選手権の代表権を勝ち取ること。昨年は、春の全日本選抜で初優勝を飾ると、7月の柔道グランドスラム・チュメニ、12月のグランドスラム東京を制覇。今年に入ってからも2月のグランドスラム・パリで金メダルを獲得するなどの実績を重ねた。

本川由依
1993年2月6日生まれ。広島県世羅郡出身、神奈川県在住。スポーツは柔道、バレーボールを中心に取材。スポーツマガジン「StandardNEXT」などに寄稿するほか、グルメ、ファションなどでも活動している。