心技体で急成長 16歳の新女王・平野美宇 リオ落選から1年半、成し遂げた変化

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石川相手に完勝し史上最年少女王に

16歳の平野美宇が、全日本選手権で優勝。4連覇がかかった石川佳純を決勝で下し、史上最年少Vを飾った 【写真は共同】

 初めてといううれし涙を目に浮かべた平野美宇(JOCエリートアカデミー)が「今年優勝しないと最年少優勝はできなかったので、今回は優勝したいと思っていました。本当にうれしいです」と語ると、会場は大きな拍手に包まれた。

 卓球の全日本選手権最終日は22日、男女シングルスの準決勝・決勝が行われ、女子決勝で16歳の平野が4連覇を目指した石川佳純(全農)を4−2で下し、史上最年少優勝を飾った。平野と石川の決勝戦は昨年に続き2年連続で、前回は石川が4−1で勝利。今回の再戦までに石川はエースとしてリオデジャネイロ五輪(以下、リオ五輪)で団体銅メダルを、平野はワールドカップ(W杯)を史上最年少で制すなどそれぞれ成長を遂げていたが、今大会では平野の威力ある両ハンドの前に石川が後手に回り、完勝で新女王が誕生した。

 平野は昨年のリオ五輪代表の座を逃した悔しさをバネに、心技体ともそれまでの自分を大きく変え、石川を上回る飛躍的な成長を遂げてみせた。

ウエイトトレーニングでものにした新スタイル

 平野は自身の成長について、「去年よりも自分から攻めることが多くなったし、攻めて点数を取ることが多くなったと思います」と胸を張る。以前は、粘り強く安定したプレーで相手のミスを誘うスタイルだった。だが、リオ代表落選などの経験から2015年秋、新しく中澤鋭コーチを招いてプレースタイルの変更を決断。自らリスクを取って積極的に仕掛ける攻撃型にシフトした。

 もちろん、選手の根幹とも言えるプレースタイルの変更には痛みがともなう。同年12月に行われた世界選手権の代表選考会では成績がふるわず、リオ五輪に続いて代表権を獲得できなかった。上手くいかない状況に「元のプレースタイルに戻りたい」と感じることも。だがその後、昨年の全日本選手権で決勝まで勝ち上がったことで自信を取り戻し、継続して新しいスタイルを自分のものとすべく取り組んできた。

 練習では従来行っていなかったウエイトトレーニングを取り入れ、また足腰をうまく連動させた重心の低いフォームに改造。得意だったバックの他にフォアの威力も増し、体の安定性も高まったことで、苦手としていた長い高速ラリーに対応できるようになった。

 その成果を今大会では存分に見せてくれた。強打や高速ラリーで相手選手を圧倒し、女王・石川との決勝戦でもパワーで何度も押し切る場面が目立っていた。

 これには、大会後2017世界選手権の代表に選出した馬場美香監督も目を細め「フォアが非常に強く鋭くなり、ボールが重くなりました。また勝負どころでここ一本欲しいというときに思い切ったプレーができている、というところが非常に評価できます」と、伸び盛りの16歳を高く評価した。

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