遅れてきた“みうみま”世代の新ヒロイン 「草食系」早田ひなに目覚めた闘争心
ワールドツアー・グランドファイナルの女子ダブルスで優勝した早田ひな(左)、浜本由惟組。早田は世界ジュニアとの連戦で、金銀合わせて5個のメダルを獲得した 【Getty Images】
早田といえば、「みうみま」の愛称でおなじみの平野美宇(JOCエリートアカデミー)、伊藤美誠(スターツSC)と同じ16歳で高校1年生。3人は幼い頃からライバルでもあり仲の良い友達だが、何かにつけて比べられてきた歴史もある。とりわけ中学を過ぎた頃からは平野と伊藤がワールドツアー最年少優勝や、今年は伊藤がリオ五輪団体銅メダル、平野もワールカップ最年少優勝などで脚光を浴び、早田は2人の偉業の陰に隠れてしまっていた。
長身を生かしたダイナミックな戦型とコーチの存在
伊藤美誠の身長が153センチ、平野美宇が158センチに比べると、165センチある早田は手足も長く、その恵まれた体型を生かした中陣(卓球台からやや離れたポジショニング)からのパワードライブは彼女の最大の武器である。さらに石田コーチは、「リーチの長いブロックも高い守備力につながっている」と指摘する。ちなみに伊藤は前陣速攻型といって、卓球台にしっかり詰めて早い打点で返球するスタイル。平野も前陣だが安定した両ハンドドライブと類いまれなコントロールが持ち味だ。
一度、早田のプレーを見れば分かるが、体を大きく使って繰り出す、しなるようなフォアドライブには相手コートを撃ち抜く、あるいは相手のブロックを粉砕する威力がある。だがその一方で、台から離れるぶん返球時の動く範囲は広がりフットワークが要求される。そのため前陣の選手よりも体力の消耗が激しく、以前の早田はスタミナ不足から試合の後半に失速することがしばしばあった。
この課題を克服しようと石田コーチが始めたのが、トレーニングの徹底と食事の改善。「おそらくジュニアの中で一番厳しくしていると思います。ストレッチひとつにしても、ちょっとでもぼーっとしていると、『1分、時間を無駄にしたよね?』とか、肉ばかりで野菜を食べていないと『野菜、スルーしただろ?』とか、毎日うるさく言っていますから。これらは全て自身の体に意識を集中させるため。本人もそれを理解しているので必死についてきています」と石田コーチは語る。