なでしこが新戦力発掘に時間を割いた理由=光るプレーも今年の「該当者はなし」
新戦力が活躍を見せた千葉での戦い
上野紗希(写真)ら新戦力がある程度の成果を見せたが、主力に割って入るのは難しい 【写真:北村大樹/アフロスポーツ】
先制点は21分。大儀見がペナルティーエリア内で倒されPKを獲得すると、宮間が冷静に蹴りこんだ。28分には、宮間のFKを阪口夢穂がヘディングで合わせて2点目を奪った。交替選手を多く使った後半は、なかなか追加点を挙げることはできなかったが、左サイドハーフで木龍七瀬が独特のドリブルで仕掛けたり、FWの田中美南も好機を演出した。
物足りなさを感じさせた若きなでしこたち
そして、なでしこジャパンの新戦力オーディションを兼ねた戦いも一旦終わりを迎えた。その成果はある程度あったが、主力に割って入るだけの新戦力がいたかといえば、「該当者なし」といえるだろう。
若きなでしこたちはアピールできた者はいたが、やはり物足りなさを感じた。そのことについて指揮官も、「例えば、球際などのチャージ、そのポジショニングなど、経験している選手と経験してない選手では違う。澤や大儀見などはそれが習慣になっている」と、やはり経験の差が大きいことを嘆いた。しかし、キャップ数の少ない彼女たちにとっては、ここで体感できたことは、大きな糧となったはずだ。
来年5月にはW杯のアジア予選を兼ねた、アジアカップがベトナムで行われる。その前に新戦力選手について、もう一度チャレンジする機会を用意しているという。次回は人数を絞って、なでしこへの最終オーディションを行う予定だ。そして、3月のアルガルベカップでチームを仕上げ、5月の本番を迎えるつもりだという。
ブランド力を感じさせたスタジアムの雰囲気
平日開催となった千葉でも、1万人以上がスタジアムに押し寄せ、大きな声援を送った。地上波でのテレビ中継はなかったが、なでしこジャパンのブランド力を十分に感じさせる雰囲気がそこにはあった。
長崎での第一戦を終えて、宮間は「試合前から最高の気分だった。もう一回なでしこフィーバーが来ちゃったかなという感じ」と顔をほころばせた。また、続けて「みなさんの盛り上がりは選手として光栄。これを続けていけるような努力を自分たちがしていかなければいけない」と、引き締めた。
未来のなでしこに夢を与えながら、結果も出し続けていく――。
今回の新戦力候補たちが口々に言っていたことがある。「また次に呼ばれるように努力したい」と。世界連覇に向けて、それぞれの選手がそれぞれのピッチでの成長することを誓った。
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