イ ミニョン、今季初の30代Vでツアー通算7勝目

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 JLPGAツアー2024シーズン第32戦『NOBUTA GROUP マスターズGC レディース』(賞金総額2億円、優勝賞金3,600万円)大会最終日が10月20日、兵庫県三木市・マスターズゴルフ倶楽部(6,506ヤード/パー72)で行われ、首位からスタートしたイミニョンが通算14アンダーで2年ぶりツアー通算7勝目の優勝を飾った。1打差の通算13アンダー、2位タイは畑岡奈紗、岩井明愛。山下美夢有は通算9アンダー、7位タイに終わった。
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《グリーン=スティンプ:11 1/4フィート コンパクション:22mm》

 ゴルフというスポーツの特性上、一瞬で局面が変わることは多い。最終日、16番ホールでのイ ミニョンがまさにそうだった。ピンまで残り約120ヤード、ピッチングウェッジで放ったボールはグリーン左のラフへ。左サイドのグリーンエッジからピンまではわずか3ヤード。簡単に寄るアプローチではない。イも覚悟の上でボールを打ったが、グリーンには届かず、傾斜で転がって再びラフへ。「正直、終わったと思いました」。この時点で1打差の首位にいたものの、ダブルボギーも十分あるという状況だけに、そう考えるのも無理はない。

 「2回目のアプローチはグリーンに乗ればいいなと。ダブルボギー覚悟でした」。バンカーショットの要領で打ったアプローチはグリーンエッジに落ちると、緩やかに転がってカップの中へ消えていった。「ウソでしょ?」。ある意味、打ったイ自身が一番信じられなかったかもしれない。優勝争いから脱落するどころか、首位をキープして上がり2ホールへ臨むことができ、そのまま1打差で逃げ切った。

 前日もボギーを覚悟した17番ホールでチップインバーディーを決めていたイ。「これだけラッキーが続いたので、今後はいいことを一杯しようと思います」と笑顔を見せた。

 今年でJLPGAツアーに参戦して8年目を迎えたイ。ツアー6勝を挙げていたが、32歳となったことで、最近は体力のなさを痛感。一念発起して1カ月前から体力トレーニングに励んでいる。「毎週月曜日にトレーナーさんと一緒に行い、大会中は教えられたメニューをこなします。週に3、4回ほど通い、ランニングも含めて1回1時間半ほど行います」。これまで筋トレは一切行っていなかったので大変身といえる。また、先週からドライバーをチェンジしたこともあり、飛距離が15ヤードほどアップ。他の選手と互角に戦える自信を取り戻した。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 さらに、アイアンのシャフトを替えたことも大きい。「4番アイアンからピッチングウェッジまですべて10グラム軽くしました。おかげでかなり振りやすくなり、距離感が合うようになりました」第1日、65で首位スタートを切ったイだが、その原動力となったのはアイアンショットだったという。

 今シーズンは20代の選手が圧倒的な力を見せ、30代以上が優勝した試合は一度もなかった。イ自身は「若い子は皆上手いから勝っているだけ」と、その事実を素直に受け入れていたが、自分を含めた30代の選手に元気がないとも感じていた。「自分が勝つことにより、他の30代を励ますことにつながるんじゃないかという思いもありました」。その気持ちがピンチを迎えたときの支えにもなった。

 22年北海道meijiカップ以来のツアー7勝目を飾ったイ。次の目標は「いいゴルフをすることです」と言い切る。あまりにも漠然としているが、自分の納得がいく1打を積み重ねることであり、その結果が優勝に結び付けばいいという考え方だ。イの優勝が30代選手を勇気づけたのであれば、残り5試合、若手対ベテランの構図がトーナメントを盛り上げてくれるはずだ。(山西 英希)

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

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