指揮官も説得、メッシが代表引退を撤回 新生アルゼンチンのスタイルは?
代表引退を撤回したメッシ
コパ・アメリカ・センテナリオ決勝直後に代表引退を発表したメッシだが、前言を撤回した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
メッシの代表引退発言が飛び出したのは、コパ・アメリカ・センテナリオ決勝直後のことだった。1年前の前回大会に続き、PK戦の末、チリに敗れたショックは相当に大きかったと見られる。その後に愛する人々とオフを過ごし、新シーズンへ向けて気力とプレーする意欲を取り戻していく中で、考えを改めていったのだろう。
以前は批判ばかりで、中には代表よりバルセロナを重視していると主張する輩(やから)までいたアルゼンチン国民の大多数が代表復帰を求めていることも、彼の考えを変えさせる要因になったのかもしれない。また、アルゼンチン代表の新監督に就任したばかりのエドガルド・バウサも先日、引退を翻意させるためメッシに会い、説得を行っていた。
メッシが抱くAFAへの怒り
アルゼンチン国民の大多数がメッシの代表復帰を求めていた 【写真:ロイター/アフロ】
メッシがAFAに対して抱いている怒りは最近に生じたものだけでなはない。その原因はいくつもある。彼以外にも、以前からハビエル・マスチェラーノなど多くの選手たちが、明確な代表強化プロジェクトの欠如や協会幹部の力量不足を訴えてきたからだ。
代表チームのプレースタイルはその好例だ。メッシがフル代表に定着して以降、アルゼンチンは監督が代わるごとにシステムや戦い方を大幅に変化させてきた。フアン・ロマン・リケルメを中心に回っていたアルフィオ・バシーレ時代のフットボールは、W杯南アフリカ大会まで率いたディエゴ・マラドーナの指揮下で一変した。その後コパ・アメリカ2011まで指揮したセルヒオ・バティスタはバルセロナの4−3−3とポゼッションスタイルを模倣したが、14年W杯ブラジル大会に臨んだアレハンドロ・サベーラはハイプレスと相手のミスを突くカウンタースタイルに傾倒。しかし、ヘラルド・マルティーノはハビエル・パストーレとエベル・バネガを重用し、再びボールポゼッションを重視したスタイルに回帰している。
マルティーノが辞任したコパ・アメリカ・センテナリオ敗退後、メッシとマスチェラーノは後任監督の選考に口を挟まぬよう沈黙を保っていた。正しい判断だったと思う。それは選手ではなく協会幹部が果たすべき役割であるし、そのような言動は今後、ピッチ上で結果を出せなかった際に批判の材料とされかねないからだ。