レッドソックス躍進を支える若手3選手 2年連続最下位から地区優勝争いへ

杉浦大介

ア・リーグトップとなる打率をマークしているボガーツ 【Getty Images】

 安打、得点、打率、長打率ですべてアメリカン・リーグ1位――。“投手有利の時代”と呼ばれて久しい現在のメジャーリーグで、今シーズンのレッドソックス打線は異彩を放っている。今季限りで引退を発表しながら、ふたを開けて見れば自己最高級のシーズンを過ごす デービッド・オルティス(打率3割4分、18本塁打、60打点/成績は日本時間24日終了時点)を中心に、ラインアップには見栄えの良い成績の選手がずらりとそろっている。

 その中で、特に鮮やかな輝きを放っているのが通称「Killer B’s(キラー・ビーズ)」。23歳のイグザンダー・ボガーツ遊撃手、ムーキー・ベッツ外野手、26歳のジャッキー・ブラッドリー外野手という生え抜きの野手トリオである。

 6月23日(現地時間)の試合後の時点で、ボガーツは打率3割5分1厘、9本塁打、10盗塁で打率ではア・リーグ首位を快走している。ベッツは打率2割9分、15本塁打、11盗塁、ブラッドリーも打率3割2厘、12本塁打とそれぞれ好成績をマーク。この3人は好守でも知られ、中でもブラッドリーはダイナミックな美技で頻繁に魅せてくれる。

 若さと攻守両面の能力を備えたトリオは他チームの垂涎の的。彼らの働きもあって、過去2年連続でア・リーグ東地区最下位に沈んだレッドソックスは現在、1位のオリオールズに1.5ゲーム差の2位につけている。熱狂的なボストニアンが、地元の象徴でもあるチームに再び希望を抱き始めているのも当然だろう。

取り組む姿勢はジーター同様

「僕は(ジーターの)ファンだった。だからジャコビー(・エルズベリー)がヤンキースに移籍したあと、背番号2を頼んだ。彼(ジーター)こそが若手や現役選手にとっての最高の模範だ。(2013年に)二塁打を打った時に少しだけ話し掛けたんだ。今年は多くの二塁打を打ち、もっと話せると良いね」

 メジャー昇格2年目の14年、ヤンキース戦でボガーツが目を輝かせてそんな風に話していたのが思い出深い。

 球史に残る遊撃手だったジーターに憧れて育ったボガーツは、13年にジーターと同じく弱冠20歳でメジャーデビュー。若さに似ず成熟していたボガーツは、この年のプレーオフでもいきなり12試合に出場し、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。14年こそ打率2割4分と“2年目のジンクス”を味わったが、昨季は打率3割2分、196安打でシルバースラッガー賞を受賞した。

 迎えた今季は打率、OPS、得点、安打数、二塁打はすべての遊撃手の中で1位。ついに完全開花を感じさせ、今ではこのボガーツこそがメジャー最高の遊撃手ではないかと言われるようになっている。

「(デレク・ジーターは)ライバルチームの選手だけど、僕は適切な選手を模範し、同じようにプレーしようと努めている。ジーターと同じような実績を残そうなんて考えるのは難しいけど、最も参考になるのは彼がどんな姿勢でプレーに臨んできたか。それこそがもっとも特別なことなんだ」

 現在のプレーぶりを見ても、当時のボガーツのそんな言葉が口先だけのものだったとは思えない。とても辛抱強く、何よりもチームを重視するプレーヤー。台頭期からベテランたちも一目置くほどの献身的姿勢を備えていたジーターとの共通点を、ボガーツにも見出すことができる。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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