レッドソックス躍進を支える若手3選手 2年連続最下位から地区優勝争いへ

杉浦大介

球宴ファン投票でもそろって上位に

ボガーツとともに「Killer B's」を形成するベッツ(手前左)とブラッドリー 【Getty Images】

 フレッシュな魅力という面では、同じ年齢のベッツもボガーツに負けていない。初めてメジャーでフルに過ごした昨季に打率2割9分1厘、18本塁打、21盗塁を残したスピードスターは、まだまだ成長中。スケールの大きさという意味ではボガーツを上回り、“ビッグパピ”ことオルティスも、「彼こそが球界が必要としていたスーパースターだ」と絶賛している。

 2人の後輩に引っ張られるように、ブラッドリーも課題だった打撃面でも大きな貢献を果たすようになった。メジャーでの最初の164試合では打率1割9分6厘と苦しんだにも関わらず、昨年8月は月間打率3割5分4厘、5本塁打とついに開眼。今年は5月下旬まで29試合連続安打を続けるなど、「Killer B’s」の最年長として存在感を誇示している。

 飛ぶ鳥を落とす勢いのトリオは知名度も急上昇中。21日に発表されたオールスターのファン投票中間発表でも、ボガーツが遊撃部門の1位、ブラッドリーが外野部門の2位、ベッツが3位。指名打者部門で1位のオルティスと合わせ、レッドソックスから4人が球宴のスタメンに名を連ねる可能性も高い。

「未来は明るい」とオルティスも太鼓判

 こうしてチームの看板たちがエンジン全開で突っ走っている限り、レッドソックスの未来は極めて明るい。今季はまだ投手陣に不安は残っているが、マイナーにそろうプロスペクトを見返りにしてのシーズン中のトレードは十分に考えられる。クリス・セール(ホワイトソックス)、フリオ・テヘラン(ブレーブス)ら、うわさになっている先発投手を一人でも獲得すれば、このまま最後まで優勝争いに絡むことはできるはずだ。

 そして、“明るい未来”とはもちろん今季後半戦に限った話ではない。ボガーツは19年、ベッツとブラッドリーは20年終了後までFAにならない。レッドソックスファンは、今後しばらく彼らの成長と活躍を見守ることができるのだ。

「(3人の)活躍には感心させられてきた。彼らはやるべきことがわかっているから、ベテランと一緒にプレーしているような気になる。にも関わらず、まだ20代の後半ですらないんだからね。このチームの未来は明るいよ」

 オルティスのそんな言葉は、すべてのレッドソックスファンの思いを代弁しているのだろう。タレントとチーム重視の姿勢を備えた「Killer B’s」は、1990年代にニューヨークに出現したヤンキースの“コアフォー(ジーター、ホルヘ・ポサダ、マリアーノ・リベラ、アンディ・ペティート)”のようになっていくのか。いや、そこまで贅沢を言わずとも、そろってこのまま順調に伸びてくれれば……。ボストニアンは再び夢を見ることができる。そして、新たな夢が、今季中にもプレーオフでの上位進出という形で結実しても、もう誰も驚くべきではないのだろう。

2/2ページ

著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント