低迷するレッドソックス、復活のカギは? “ビッグパピ”最終年に高まる期待
プライス(左)の活躍がレッドソックス浮上の鍵を握る 【Getty Images】
2016年のレッドソックスのメディアガイドを開くと、前書き部分にはそう記されている。最近の成績を考慮すれば、「公約(Commitment)」というよりも単に「目標」と記すべきだったのかもしれない。
04年以降に3度も世界一に輝いた強豪も過去2年連続、4年間で3度もア・リーグ東地区で最下位。この2年はメジャー4位以内の金額をペイロール(年俸総額)に費やした上での成績なのだから、“惨敗続き”と受け取られても仕方ない。
13年にほとんど奇跡的な形で世界一になったおかげで、しばらくは許されてきた。それでもここ6年でプレーオフ出場が13年の1度だけでは、ファンもそろそろいら立ち始めるはずだ。
ただ……そんな迷走する名門チームの評判が、今春はなかなか良い。
米国唯一の全国紙である『USAトゥデイ』紙は今季の勝ち星を88勝、野球専門のデータサイト『ファングラフ』は同92勝と予想。どちらもレッドソックスがア・リーグ東地区を制すると見ている。
スポーツ雑誌の老舗『スポーツ・イラストレイテッド』のパワーランキングでも30チーム中8位にランクされ、地区内ではトップ。こういった高評価の背景には、今オフのレッドソックスの補強策、そしてそれを可能にしたデーブ・ドンブロウスキー氏への信頼があるに違いない。
補強と育成でバランス良いチームに
それに加え、ムーキー・ベッツ、イグザンダー・ボガーツ、ブレーク・スワイハートら自前の若手も順調に育っている。生え抜きと外様がバランス良くそろったロースターは、方向性が見えづらかった昨季までより一段上。群を抜いたチームが見えない地区内で、本命扱いされるのは納得できる。
なかでも7年2億1700万ドル(約245億円)の新契約とともにエース役を託されるプライスに、“ア・リーグ東地区のディファレンスメーカー(違いを生み出す選手)へ”との期待がかかる。
「もう30歳だから、いつもうまくいくわけではないのは分かっている。ただ、多くのことを経験してきて、良いことも悪いことも、どう対処すれば良いのかを学んできた。今でも向上したいと思っているし、学び続けている。ボストンでプレーする準備はできていると思っているよ」
インターネットで中継された昨年12月の入団会見時、プライスは自信に満ちた表情でそう述べていた。12年にサイ・ヤング賞を受賞した大型左腕は、過去にレイズ、ブルージェイズの一員として、この地区で活躍。フィールド内外でのリーダーシップにも定評ある選手だけに、本人の言葉通りメディアも厄介なボストンには適した選手なのだろう。