サイン会が大きな収入源のP・ローズ イチローと異なる価値観、野球観
2015年のオールスターゲームはローズの地元シンシナティで開催。試合前セレモニーで歓声に応える 【Getty Images】
サインをしてもらうのに、現場で99ドル(約1万円)のボールを購入しなければならない。そのボールにサインをしてくれるというわけだ。バット、ユニホームでも良いが、少々、値が張る。いずれにしてもそうしたグッズを購入することでサインをもらえる権利を得て、さらに200ドル(約2万1000円)を追加で払うことで、サインと一緒に際どい言葉を入れてくれる。例えば、「私は、野球賭博をしました。ごめんなさい」、「私は、ジョン・F・ケネディを暗殺しました」でもいいとのこと。ラスべガスの地元紙に載っていた。
2012年5月30日付けの『ウォールストリート・ジャーナル』(電子版)によれば、これでローズは年間100万ドル(当時のレートで約8000万円)を稼ぐそう。07年には360万ドル(当時のレートで約4億4000万円)を売り上げたというから、個人事業としては悪くない。
もちろん、引退した選手にとってサイン会は大きな収入源だ。ベースボールカードのトレードショーなどが主な仕事場で、有名選手ともなればそれなりに忙しい。ローズと同じ時代にプレーし、「ビッグレッドマシン」とよばれた打線の一員を担ったジョニー・ベンチもサイン会と講演会のため全米を飛び回る。かといって、ローズのように月の半分をサインしながら過ごす選手は聞かないが、それができるのはもちろん、大リーグの最多安打記録を保持するそのネームバリューがあるからこそ。監督時代に野球賭博をしたことで永久追放されている身だが、月に半分働いて100万ドルを稼ぐなら、悠々自適である。
三振の少なさは共通
そもそも2人は似ているようで、全く違う選手のタイプである。
昨年5月途中からマーリンズの監督を務めたダン・ジェニングス(現ナショナルズGM補佐/スカウト)は、「ともに、厳しい球をファールにできる。三振が少ない」と共通点を挙げたが、「加えて、みんなが知っているようにヒットが多い、本塁打が少ないということのほかには、似通った数字を探すのは難しい」と教えてくれた。
三振する確率はローズが7.2%に対して、イチローが9.8%(大リーグのみ)。確かに、通算安打数以外で近いのはこれぐらいか。