有終の美ワンアンドもう一度 京都記念 「競馬巴投げ!第115回」1万円馬券勝負

乗峯栄一

新婚以来25年ぶりに夫婦で旅行することになる

[写真1]ワンアンドオンリー、橋口調教師の定年引退に花を添える勝利を! 【写真:乗峯栄一】

 もう7年前になる。「マイレージが国内旅行二人分貯まってますが、もうじき期限切れますよ」というメールが航空会社から来た。むざむざ期限切れにする訳にはいかない。「この際、お前を連れて旅行しないではない」と嫁に言うと、「何を言う、それはこっちのセリフ。そこまで頼まれれば一緒に行くことにやぶさかでもない」という麗しい答えが返ってきて、新婚時代に伊勢に行って以来25年ぶりに夫婦で旅行することになる。若干不本意さが残る。

池江泰郎、野元昭、橋口弘次郎……「調教師南九州説」

 行き先は決めていた。都城・霧島である。理由は三つほどある。

(1)つらつら人生振り返ってみるに、国内でまだ行ってない県は宮崎・鹿児島・高知だと思い至る(昨年高知競馬に行ったので、めでたく(誰も祝ってくれないが)ひっそりと日本全県訪問を果たす)。

(2)「祭りの準備」「tomorrow」などで好きになった映画監督・黒木和雄は晩年一本だけ故郷を舞台にした「美しい夏キリシマ」を撮ったが、これがよかった。

(3)都城は(7年前当時の)現役では池江泰郎、野元昭、橋口弘次郎、OBでは二分久男、吉永猛、吉永忍など栗東有力調教師輩出地である。さらに宮崎・鹿児島と範囲を広げれば、音無、山内、安田伊、池添、岩元、領家、鮫島、鶴留など、これはもう(7年前当時の)現役だけで30人近い調教師がいる。「馬は北海道、調教師は南九州」は今の栗東で最もポピュラーな組合せだ。馬産地が北海道なのは分かるが、なぜ南九州が調教師産地か、その秘密の一端を知りたい。

 旅行二週前から下調べに入った。黒木和雄監督と橋口調教師は都城泉ヶ丘高校出身である。当時大いに話題になっていた東国原知事や橋口調教師夫人もこの高校らしい。「何じゃ都城泉ヶ丘って」とこの高校をまず探したが、これは地図見てすぐ判明する(当たり前だ、現存高校なんだから)。[写真2]

[写真2]橋口調教師の母校でもある都城泉ヶ丘高校 【写真:乗峯栄一】

 家で馬を飼っていたことから“橋口少年”が小学校早引けして見に行っていたという都城競馬場はどこだ? あるいはこれが「調教師南九州説」(邪馬台国北九州説みたいだなあ)の鍵を握っているかもしれない。でも分からない。昭和30年代半ばには既に廃場になっていて、場所も競馬場の形態も定かでない。

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著者プロフィール

 1955年岡山県生まれ。文筆業。92年「奈良林さんのアドバイス」で「小説新潮」新人賞佳作受賞。98年「なにわ忠臣蔵伝説」で朝日新人文学賞受賞。92年より大阪スポニチで競馬コラム連載中で、そのせいで折あらば栗東トレセンに出向いている。著書に「なにわ忠臣蔵伝説」(朝日出版社)「いつかバラの花咲く馬券を」(アールズ出版)等。ブログ「乗峯栄一のトレセン・リポート」

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