俳優・伊原剛志が語るラグビーの魅力 「日本は本当に変わったしスゴい」

しべ超二

俳優・伊原剛志にラグビー体験、その魅力について聞いた 【中原義史】

 クリント・イーストウッド監督作『硫黄島からの手紙』(2006)に出演するなど、日本のみならずワールドワイドな活躍を見せる俳優・伊原剛志は、中学時代ラグビー部で、現在は3人制の新スポーツ「ストリートラグビー」初代アンバサダーという顔も持つ。秋には、日本人唯一の出演者としてクライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマンらと共演した紀里谷和明監督のハリウッド進出第一弾『ラスト・ナイツ』公開を控える伊原に、ラグビー体験、そしてその魅力について聞いた。

中学時代はスクラムハーフ

「大阪は中学ラグビーが盛んで、うちもラグビー部ができたばっかりで、ああいう体がぶつかるものに憧れたんです。(中学)卒業の時で164センチと小さくて細かったので、ポジションはスクラムハーフだったりをやっていました。もう軽いから大きい人に飛ばされてね。タックルへいくのがすごく嫌でした(苦笑)」

 高校では「小さかったし、そこまで伸びると思わなかった」ため、サッカーに転向。しかし俳優を志してからはジャパンアクションクラブで修業を積み、その後もプライベートでボクシング、テニスに取り組むなど常にスポーツは身近な存在だった。現在は再びラグビーの応援に熱が入っているという。

「たまたま飲み屋で日本代表元コーチの沢木敬介さんと一緒になって、『伊原さんのスポーツのイメージって、やっぱりラグビーですよね』って言われて、『いやぁ、やってたことはやってたんですけど』みたいな話になって(笑)。

 それで『今度ぜひ見に来てください』って言われて行ってみたら、『いつの間に日本のラグビーはこんなに強くなって、こんなに面白いんだ』って思ったんです。(昨年11月に行われた)日本代表とマオリ・オールブラックスの試合だったんですけど、もう勝つんじゃないかっていう試合で(結果は18−20)。それでラグビーは面白い、応援しようと思って、そういう時にちょうどストリートラグビーの話をもらったんです」

マオリ・オールブラックスとの試合を見て「いつの間に日本のラグビーはこんなに強くなって、こんなに面白いんだ」と思ったという 【写真:伊藤真吾/アフロスポーツ】

 ラグビーを語る伊原の口調は熱がこもる。

「僕が見ていたころの日本のラグビーは、海外とやっても大差で負けたりあまり強くなくて、日本のフォワードって弱い、いつも押されて耐えるみたいなイメージがあったんです。それがマオリ・オールブラックスとの試合でビックリしたのは、ガンガン押して、スクラムトライが取れるフォワードなんです。体もデカくて負けていなくて、“日本人がこんなにデカくてキビキビ動けるのか”ってビックリでした。いやぁ、本当に変わったしスゴいと思います」

ラグビーから人の生かし方、チームワークを学んだ

 そんなラグビーでかつて学んだ精神は、映画というフィールドに舞台を変えた今も伊原の中で生きている。

「たとえばラグビーで言ったら、ボールを持っていて自分がタックルされても、パスを渡してその道を生かして他の人間を行かせるとか、そういう“人の生かし方”だったり、やっぱりチームワークですかね。チームで何かを作り上げる。映画なんて特にチームワークで、1人では絶対できないですから」

 今月18日からは、イングランドでラグビーワールドカップ2015が始まる。そのワールドカップが次回2019年には日本で開催予定と、ラグビーは盛り上がりを見せている。

「サッカーはサッカーで面白いですけど、ラグビーはもうグァーとかギシー、バチーンって聞こえるようなコンタクトがあって、日本選手がデカい外国選手を吹っ飛ばしてトライをする――そういうのはやっぱりスゴいし、燃えるじゃないですか。今は人とコンタクトすることが少ないし、ケンカをすると親が出てきたり教育員会が出てきたりするややこしい時代で、でもそれがスポーツの中で人とぶつかったり当たることで、人の痛みが分かったりする。それってすごく、いいことなんじゃないかと思います」

 単身チェコへ渡って撮影に臨んだ『ラスト・ナイツ』は、伊原にとって日本代表と同じ気持ちで世界に挑んだ一本である。今後も伊原はラグビーに熱視線を送り続ける。

映画『ラスト・ナイツ』は11月14日全国ロードショー公開 【中原義史】

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著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。松濤館空手8級。

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