「ひょっとして!」父が気づいた川田将雅騎手の行動、そして国道で見たファンの熱気/月刊・佐賀競馬だより

佐賀県競馬組合
チーム・協会

JBC2024佐賀 展示室オープニングセレモニー 【撮影:大恵陽子】

佐賀記念当日の2月6日、佐賀競馬場で「JBC2024佐賀 展示室オープニングセレモニー」が行われました。

昨年、佐賀競馬場で初開催となったJBC2024の記念品や写真を展示する今回の企画。
スタンド3階の展示室にて開かれています。

展示されるのはJBC三競走の写真や記念グッズ。
さらに、目玉としてJBCクラシックを勝ったウィルソンテソーロの勝負服が鞍上の川田将雅騎手より寄贈されました。

セレモニーで佐賀県競馬組合・池田宏昭副管理者はこう挨拶しました。

「当日、1万2000人を超える来場者が観戦される中で白熱したレースが展開され、来場者の皆様の声援と熱気によって佐賀競馬場はかつてない史上最高の盛り上がりとなりました。JBCを盛り上げていただきました皆様、本当にありがとうございました。
JRAの川田将雅騎手からご寄贈いただきましたJBCクラシックの優勝馬の勝負服を展示させていただいております。ご寄贈いただきました川田騎手には心から御礼を申し上げます」

オープニングセレモニーで挨拶をする佐賀県競馬組合・池田宏昭副管理者 【撮影:大恵陽子】

川田将雅騎手からはメッセージが届き、父・川田孝好調教師が代読しました。

【川田将雅騎手メッセージ】
本日、佐賀記念の騎乗はなく、関西で仕事のため、そちらに行けません。 先日、佐賀で初めて開催されたJBC。 この佐賀でのJBCが成功するかどうかは、川田将雅次第だと、誠に勝手ながら、全てを背負っているくらいの強い責任感を持って、当日を過ごしました。

こちら側の話ですが、佐賀競馬場の職員、調教師、騎手、スタッフたち、関わっていただいている全ての関係者たちが、どれほどの思いで、このJBCのための時間を過ごして来たか、僕が全てを理解することはできません。

しかしながら、スタンドが真っ黒に見えるほどの、たくさんのお客様の姿を見た時に感じた感動は、関係者全てを喜ばせてくれたことと思います。 あとは我々ジョッキーが、馬たちと共に、お客様に喜んでいただける競馬をと、強く思いました。

JBCクラシックをウィルソンテソーロ号が勝ってくれた、あの時の直線の大歓声。 ウイニングランでいただいた、たくさんのあたたかい声援。 馬たち、お客様、関係者、全ての想いが詰まったあの空気感は、佐賀競馬場で生まれ育ち、騎手として競馬に携わらせていただいている私にとって、生涯の宝となりました。

佐賀競馬場に来てくれた競馬ファンの皆様、画面越しで見てくださった競馬ファン の皆様、このJBCに関わってくれた全ての皆様に、心より感謝致します。 競馬ファンの皆様に、佐賀でのJBCはおもしろかったねと、当日を思い出していただけたらと思い、その時に使用していた勝負服を、寄贈させていただきます。

私の生まれ故郷の佐賀競馬場が、末永く競馬ファンに愛していただけることを、強く願っております。

2025年2月6日 川田将雅

川田将雅騎手からのメッセージを代読する川田孝好調教師 【撮影:大恵陽子】

「引退レースでまったく同じことをやったんですよ」

ウィルソンテソーロの勝負服の左下に、ウイニングラン後にスタンドに向かってヘルメットを脱いで一礼する川田将雅騎手の写真が飾られています。

父・川田孝好調教師はそれを見つめながら、しみじみとこう話しました。

「引退レースで僕がまったく同じことをやったんですよ。たまたま逃げ切って勝って、ウイニングランで1周回ってきて最後にヘルメットを取って頭を下げました。
JBCでのこの写真のシーンは検量室から見ていたんですけど、佐賀競馬で長年働いている職員と顔を見合わせて『ひょっとして!』と。
終わってから息子に聞いたら、『そうだよ』と言っていました。
私が現役時代は『絶対に来るな』と言っていたので、息子が競馬場で間近でレースを見たのはその引退レースが初めてだったんです」

川田将雅騎手の胸に、ジョッキーとしての父の姿が焼き付いていたのでしょう。

JBCクラシックを勝ち、ウィルソンテソーロの馬上で一礼する川田将雅騎手 【撮影:大恵陽子】

川田孝好調教師はこう続けます。

「息子はジョッキーになってあそこまでのガッツポーズをしたのは初めてじゃないですか。地元だという思いもあったし、何が何でもこのレースを勝たないといけないって気持ちで佐賀に来たと思うんです。ましてや佐賀で第1回目のJBC。クラシックを勝って込み上げるものがあったんじゃないでしょうか」

さらにレースが終わった後、競馬場周辺でのファンの姿に胸が熱くなったといいます。

「家族みんなで食事に行こうと車で走っていたら、国道沿いにお客さんがいっぱい歩いていたんですよ。『これなんだ?』と家族に聞いたら、『たぶん駅に向かっているんだよ』って。あの日、夜は寒かったんですけど、みんな屈託のない笑い声で、国道を歩いていました。『すごくいいものを見た』といった満足感が漂っていて、満足して帰っていただけたかな、と嬉しかったです」

競馬場からJR鳥栖駅や新鳥栖駅へのシャトルバスが多数出ていましたが、JBCの直後は一気にファンが殺到。長蛇の列を見て約3km先の最寄り駅まで歩いたファンもいたといいます。ご不便をおかけしてしまいましたが、「楽しかった」という感情を抱きながら帰路についていただけたなら、少し安心するところです。

「JBCの日は1レースからすごいお客さんの数でした。インターネットで馬券を売るようになってから来場者はたしかに減りましたけど、こういうレースがあると全国からこれだけたくさんのお客さんに来ていただけるんだ、と思いました。これに限らず、またお客さんに来て、見ていただいて、次の佐賀競馬を応援していただけたら一番です」

展示されているJBC2024佐賀グッズ 【撮影:大恵陽子】

JBCスプリントに地元・佐賀を代表して出走したテイエムフェローのゼッケン 【撮影:大恵陽子】

オープニングセレモニーでは最後に、さがけいば公式YouTubeの生配信「SAGAリベンジャーズ」に出演する佐藤哲三さんも挨拶しました。

「JBCが佐賀で開催されると耳にしてから、YouTube配信を任せていただいてる身として、配信側から佐賀競馬を盛り上げて、JBCも絶対成功させてやるぞ!という気持ちでやってきました。JBC成功には、ジョッキーだけでなく佐賀競馬関係者が一生懸命いろんなことに対してシミュレーションや対応をしてくれたこともあったと思います。次回も機会があれば協力させていただきたいですし、『またJBCを佐賀でやってほしい』という思いを込めて、佐賀競馬の馬券を購入していただけたら嬉しいです」

オープニングセレモニーで挨拶をする元騎手の佐藤哲三氏 【撮影:大恵陽子】

JBC2024佐賀の展示室はスタンド3階、有料指定席エリア内にありますが、指定席入り口で展示を見たい旨をお伝えいただければ入場できます。
無料入場期間は2025年3月30日まで。
佐賀競馬開催日の13:00~入場可能です。

ぜひ九州で初開催となったJBC2024佐賀のグッズをご覧いただき、あの日の興奮をよみがえらせていただければと思います。

※リンク先は外部サイトの場合があります

JBCクラシックを勝ったウィルソンテソーロの勝負服を見つめる来場者 【撮影:大恵陽子】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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