久保も強いられる“地獄のスケジュール”の実態 マジョルカの指揮官がベタ褒めした浅野のハイパフォーマンス
日本列島縦断よりも長距離を移動
その遠征距離は日本列島を縦断(およそ3,000㎞)するよりも長い。しかもソシエダは、他の月より日数が少ない2月にもかかわらず、まだ3試合を残しているのだ。
救いは、そのすべてがホームゲームであることだが、とはいえ2月20日にELプレーオフの第2レグ、23日にラ・リーガのレガネス戦、26日に国王杯準決勝のR・マドリー戦と続く強行軍で、さらに3月1日にはアウェーで首位バルサとの一戦(ラ・リーガ第26節)も控えている。
現在、久保はラ・リーガでのイエローカードの累積が4枚で、出場停止にリーチがかかった状態。おそらくまたどこかで休養を与えられることになるだろうが、それにしてもこのスケジュールの中で体調を維持し、結果を出していくのは並大抵のことではない。
昨シーズンのラ・リーガで負傷した選手の数は、前年から32パーセントも増加している。それはどこの国のリーグも似たようなものだろうし、代表戦で負傷して帰ってくる選手も後を絶たない。こうした状況を受けて、国際プロサッカー選手会(FIFPRO)のダビッド・アガンソ会長はFIFAとUEFAに対して警笛を鳴らしているが、改善への妥協点はいまだ見いだせていないのが実情だ。
スタメン定着が見えてきた浅野
スペイン上陸1年目の今シーズンは膝やハムストリングの故障で、前半戦の大半を欠場することになった浅野だが、昨年12月のセルタ戦で戦列復帰。徐々にプレータイムを伸ばすと、スタメン出場した2月16日のラス・パルマス戦(ラ・リーガ第24節)で、ハゴバ・アラサテ監督がベンチから拍手を送るほどの活躍を披露したのだ。
ゴールにこそ絡まなかったが、献身的なフリーランでスペースを生み出し、ラインを押し上げ、トリッキーな股抜きから突破を図り、そして豪快なオーバーヘッドシュートを放つなど、その躍動感あふれるアクションに本拠地ソン・モイシュスタジアムは大いに沸いた。
テレビ中継の実況席も、「今シーズン最高のパフォーマンス」「まさにカラテキッド!」とベタ褒め。3-1とリードした71分に交代をする時も、「浅野にスタンドからの拍手を与えるためでしょう」と、この日の陰のヒーローを称えている。
多くのマジョルカ・サポーターが「今シーズンの残り試合のスタメンは決まった。やはりアサノを含めたサイドアタッカーを置いたほうが、エースの(ヴェダト・)ムリキも生きる」といった内容のコメントをSNSで発信していたが、それはアラサテ監督も同じ考えのようだ。試合後の記者会見では、浅野に対して賛辞のかぎりを尽くしている。
「結局は、タクを手にしているとき、我々はより大きな脅威を手にすることになる。これまではムリキの近くにそういった脅威が欠けていた。(今日の試合では)何よりもあの鋭いスプリントやマークを外す動きが良かったし、そういうタクがいることで、他の選手もより活きてくる」
「タクはチームが必要としている選手。(怪我から復帰後は)試合ごとに良くなっているし、これこそ私たちが見たいタクだ」
ソシエダとは異なり、欧州カップ戦の負担がなく、すでに国王杯も3回戦で敗退しているマジョルカには、リーグ戦一本に集中できるメリットがある。現在の7位というポジションを最後まで維持できれば、来シーズンの欧州カップ戦出場はほぼ確実。ELはもちろん、出場枠拡大となればCL出場権も狙えるだろう。そのためにも、浅野の力が必要だ。スタメンに定着しそうな勢いのジャガーが、マジョルカのラストスパートをけん引する。
(企画・編集/YOJI-GEN)