欧州CL「プレーオフ大展望」 南野や上田らも参戦、最大の注目はマンチェスター・C対R・マドリー

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クラブ・ブルージュ(24位)×アタランタ(9位)

デ・ケテラーレ(右)にとっては21-22シーズンまで所属した古巣との対戦に。そのクラブ・ブルージュでは、CL経験も豊富な主将ファナケン(左)がキーマンの1人だ 【Photo by Simon Stacpoole/Agency/Getty Images】

 地力に勝るのはアタランタだ。セリエAで破竹の11連勝を飾ったころの勢いは失われたが、リーグフェーズでアーセナル、バルセロナと引き分け、R・マドリーとも伍して渡り合った。そのチーム力はEL王者にふさわしいレベルにあり、辛うじてプレーオフ進出を決めたベルギーの雄とは比較にならない。CLのチームトップスコアラー(4得点)であり、このプレーオフが古巣対決となるベルギー代表のMFシャルル・デ・ケテラーレを通じ、分析スタッフが提供してくれるものとはまた異なる「生きた情報」も持っているだろう。

 番狂わせを狙うクラブ・ブルージュは、アストン・ヴィラやスポルティングを打ち負かし、ユベントスと引き分けたホームでの第1レグでアドバンテージを得られるか。アタランタ自慢の守備、オールコート・マンツーマンを攻略するのは至難の業だが、トップ下のハンス・ファナケン、左ウイングのフリストフ・ツォリスにいい形で前を向かせたい。前者はミドルシュート、後者はドリブル突破と難敵を脅かす武器を持っている。

フェイエノールト(19位)×ミラン(13位)

ミランは今冬にJ・フェリックス(右)、ウォーカーらを獲得して戦力増強に成功。フェイエノールトでヒメネスに代わる得点源として期待される上田(左)のプレーにも注目だ 【Photo by Stefan Koops / EYE4images/Piero Cruciatti/Getty Images】

 オランダとイタリアの名門対決にとっておきの“スパイス”が加わった。サンティアゴ・ヒメネスだ。フェイエノールト在籍2年半で65ゴール(14アシスト)を決めたメキシコ代表FWが今冬、ミランに新天地を求めたのだ。リーグフェーズでマンチェスター・Cやバイエルンのネットを揺らした“元”エースを止めずして、エールディビジで首位戦線に絡めずにいるフェイエノールトの見通しは良くならない。アップセットを起こすには、“ポスト・ヒメネス”のセンターフォワード、上田綺世の奮起も必要になるだろう。

 仮にヒメネスの「フェイエノールト戦の出場不可」というクラブ間合意があったとしても、ミランは痛痒を感じないはず。やはり冬の新戦力であるFWジョアン・フェリックス(←チェルシー)、今シーズンのCL&国内カップ戦で合計6ゴールのFWタミー・エイブラハム、さらには崩しもフィニッシュも一流のラファエウ・レオンと得点源には事欠かないからだ。マンチェスター・Cの前キャプテンで、勝者のメンタリティーを宿すDFカイル・ウォーカーの加入も上位進出を予感させる要因。夢のような補強を実現させたミランが順当に勝ち抜くか。

セルティック(21位)×バイエルン(12位)

ケイン(右)が最前線に君臨するバイエルンの強力攻撃陣を止めるのは困難。セルティックとしては、旗手(左)らが裏のスペースに質の高いボールを送り込み、勝機を見いだしたい 【Photo by Nigel French/Alexander Hassenstein/Getty Images】

 勝敗予想がもっとも簡単なカードかもしれない。“本命”はバイエルン。地元ミュンヘンで開催される決勝を見据え、例年以上に闘志を燃やしている。リーグフェーズ第7節のフェイエノールト戦、ブンデスリーガ第20節のホルシュタイン・キール戦で3失点を喫した守備が不安材料に挙がるものの、欧州最高峰の攻撃カルテット(ハリー・ケイン、ジャマル・ムシアラ、マイケル・オリーセ、キングスレー・コマン)が失点以上のゴールをもたらすはず。ワールドクラス不在の相手守備陣を打ち砕く可能性は小さくない。

 セルティック視点に立てば、バイエルンの不安定なディフェンスを突きたいところ。敵将ヴァンサン・コンパニが敷くハイラインの裏には広大なスペースがあり、ボール供給源の旗手怜央やアルネ・エンゲルスから快足FWの前田大然にうまくボールが渡るようだと面白い。ただ、1月に古橋亨梧をレンヌに放出しながら、チーム最大の得点源だったそのストライカーの後釜確保に失敗したのは痛恨だ。崩し切っても決定力不足に泣かされる恐れがある。

モナコ(17位)×ベンフィカ(16位)

南野(左)が精神面でも支えるモナコの若手主体のアタッカー陣と、百戦錬磨のDFオタメンディ(右)が統率するベンフィカ守備陣との攻防はいかに 【Photo by Luca Amedeo Bizzarri/Jose Manuel Alvarez Rey/Getty Images】

 実力伯仲と見られるが、両チームのカラーは対照的だ。30歳の南野拓実が最年長のモナコは若いチームで、22歳のマグネス・アクリウシュ、19歳のエリエス・ベン・セギルという両ウインガーをはじめ、22歳のセンターフォワード・ミカ・ビエレス、21歳のMFラミヌ・カマラら俊英がチームを突き動かす原動力になっている。一方のベンフィカは、このプレーオフ期間中にともに37歳となる“世界王者”アンヘル・ディ・マリアとニコラス・オタメンディ、セリエA通算114ゴールを誇るFWアンドレア・ベロッティら千軍万馬の古強者が屋台骨だ。

 興味深いのはやはり「新星」と「大ベテラン」のマッチアップ。リーグフェーズで2ゴールを決めるなど異彩を放ち、1月にシュトゥルム・グラーツから加入したモナコのビエレスは、リーグアン3試合目のオセール戦(2月1日)でハットトリックと日の出の勢いを見せている。ポストプレーも光るこのセンターフォワードが、南野やアクリウシュの助力も得ながらオタメンディの壁を越えられるか。エンタメ性十分の見どころであり、勝負の行方を左右するポイントの1つだ。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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