欧州CL「プレーオフ大展望」 南野や上田らも参戦、最大の注目はマンチェスター・C対R・マドリー

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CL16強の残り8枠を懸けたノックアウトフェーズPOは現地時間2月11日・12日に第1レグ、18日・19日に第2レグが行われる 【Photo by Harry Langer/Neal Simpson/Richard Sellers/Alexander Hassenstein/Getty Images】

 2024-25シーズンから大会フォーマットが一新されたチャンピオンズリーグ(CL)の見どころの1つが、2月11日(日本時間12日)に始まるノックアウトフェーズのプレーオフ(PO)。出場するのはリーグフェーズ9~24位の計16チームで、抽選によって対戦が決まった2チームがホーム&アウェーで雌雄を決し、勝利した8チームがラウンド・オブ16に進出する。このPO敗退組がヨーロッパリーグ(EL)に回るような救済措置はなく、ヨーロッパ戦線での生き残りを懸けたデスマッチが各地で繰り広げられる。

 全8カードの中で最も大きな話題を集めるのは、レアル・マドリー(リーグフェーズ11位)対マンチェスター・シティ(同22位)をおいてほかにない。近年のサッカー界を支配してきたトップ・オブ・トップによる真の頂上決戦だ。いずれも所属クラブで主力を担うスポルティングの守田英正、モナコの南野拓実、フェイエノールトの上田綺世、セルティックの前田大然と旗手怜央も出場する注目のPOの全8カードを展望する。

※各対戦カード:左側が第1レグのホームチーム。チーム名後のカッコ内はリーグフェーズ順位

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ブレスト(18位)×パリ・サンジェルマン(15位)

8試合で唯一の同国対決。先日の対戦ではデンベレ(右)の3発などでPSGが大勝、ル・カルディナル(左)の実戦復帰が見込まれるブレスト守備陣がどこまで踏ん張れるか 【Photo by Giuseppe Belliniean/Catuffe/Getty Images】

“レ・ピラート”(=海賊、ブレストの愛称)には奇跡が必要だ。同じリーグアン(フランス1部)のPSG(パリ・サンジェルマン)とは過去に公式戦20試合の対戦歴があるが、2分18敗と勝った試しがない。2月1日(現地時間、以下同)のリーグアン第20節ではホームで2-5の大敗を喫した。故障明けのため、この前哨戦をベンチから見届けたセンターバックのジュリアン・ル・カルディナルを軸にどれだけ失点を減らせるか。ファンから「巨匠」と称えられるエリック・ロワ監督の修正力にも期待がかかる。

 対するPSGは新3トップが浮沈の鍵を握る。今冬にナポリから加入したフビチャ・クバラツヘリア、偽9番のタスクを担うウスマン・デンベレ、左から右へ配置転換となったブラッドレー・バルコラと、いずれも独力で違いを作り出すドリブラーで構成された魅惑のトリオだ。無限の可能性を秘めるこのユニットが爆発すれば、悲願の欧州制覇に向けて弾みもつくだろう。ファンが求めるのは単なる勝利ではない。内容の伴った完勝だ。

マンチェスター・シティ(22位)×レアル・マドリー(11位)

シティにはハーランド(左)、R・マドリーにはエムバペ(右)がいる。ともに超ワールドクラスが牽引するアタッカー陣の出来が大きなポイントだ 【Photo by David S. Bustamante/James Gill - Danehouse/Getty Images】

 ペップ・グアルディオラ政権の発足以来、最悪のシーズンを送るシティは2月2日のアーセナル戦で1-5と惨敗。その11日前のCLリーグフェーズ第7節、PSG戦(2-4)同様に守備が崩壊した。絶好調のキリアン・エムバペを筆頭に、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴと一発の怖さを持ったタレントが多いR・マドリー攻撃陣を完璧に封じ込むのは現実的ではなく、ゴールを奪われても奪い返す反発力と攻撃力を問われそうだ。

 前線が盤石のR・マドリーはしかし、後方に大きな不安を抱えている。アントニオ・リュディガー、エデル・ミリトン、ダビド・アラバが負傷離脱中で、センターバック(CB)のレギュラー格が軒並み不在の緊急事態に陥っているのだ。カルロ・アンチェロッティ監督がCB起用を示唆する守備的MFのオーレリアン・チュアメニ、あるいはラウール・アセンシオら経験不足のカンテラーノ(下部組織出身者)たちが、怪物アーリング・ハーランドを抑えられるかは疑問が残る。

 つまり、このビッグマッチの構図は「矛×盾」ならぬ「矛×矛」だ。互いに超ワールドクラスを擁するアタッカー陣の出来がプレーオフ突破の成否を左右するはずだ。

ユベントス(20位)×PSV(14位)

ユーベにとっては、1月に加入したコロ・ムアニ(左)が早くも前線の核になりつつあるのは好材料。昨季のエールディビジ得点王デ・ヨング(右)を擁するPSV攻撃陣も力はある 【Photo by Giuseppe Maffia/Broer van den Boom/BSR Agency/Getty Images】

 良いイメージで試合に臨めるのはユベントスだろう。リーグフェーズ第1節にPSVをホームに迎え、3-1の快勝を収めている。今冬に4人の実力者(FWランダル・コロ・ムアニ、いずれもDFのレナト・ヴェイガ、アルベルト・コスタ、ロイド・ケリー)を補強し、戦力を充実させたことも勝ち抜けを後押ししそうだ。なかでもコロ・ムアニは要注目。1トップを務めるフランス代表は、セリエA3試合で5ゴールといきなり期待に応えている。

 戦力で見劣りするPSVは、今季の公式戦で18試合無敗(PK戦で敗れたオランダ・スーパーカップを除く)とホームで圧倒的な強さを誇る。リーグフェーズ第8節では相手が飛車角落ちだったとはいえ、リバプールにCL初黒星をつけてみせた。その一戦で1ゴール・1アシストを決めたFWリカルド・ペピが膝の故障で離脱したのは痛手だが、エールディビジ(オランダ1部)の得点ランク十傑に計5人が名を連ねるように、どこからでも点が取れる強みを持つ。アウェーでの第1レグでドロー以上の結果なら、勝機はグッと広がるだろう。

スポルティング(23位)×ドルトムント(10位)

スポルティングのギェケレシュ(左)は、いま欧州で最もホットなストライカーの1人。ドルトムントの得点源ギラシ(右)も好調を維持する 【Photo by Crystal Pix/MB Media/Maffia/Getty Images】

 “似た者同士”の一戦だ。所属選手の推定市場価格の総計(transfermarkt参照)を見ると、スポルティングが4億6900万ユーロ、ドルトムントが4億7320万ユーロとほとんど差がない。前者はルベン・アモリム、後者はヌリ・シャヒンと、シーズン開幕時点で指揮を執っていた監督が退任。強力なセンターフォワードの存在も共通点で、スポルティングはマンチェスター・Cを相手にハットトリックを決めたヴィクトル・ギェケレシュ(26歳)、ドルトムントはCL得点ランキング1位タイのセル・ギラシ(28歳)が最前線に君臨する。付け加えるなら、リーグフェーズ8試合で喫した失点数(12)もまったく同じである。

 チーム状態はスポルティングがやや上回るか。アモリムの後を継いだジョアン・ペレイラは8試合で解任の憂き目に遭ったが、昨年末に発足したルイ・ボルゲス新体制下で公式戦5勝4分1敗と復調。一方のドルトムントはニコ・コバチ新監督とともにリ・スタートを切ったばかりで、2月8日の初陣ではシュツットガルトに1-2で敗れている。スポルティングの本拠地開催となる第1レグでも苦戦を免れそうにない。

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