全体最下位でB1後半戦に向かう滋賀レイクス 原社長が語る未来への希望と「健全経営」
原毅人氏は2023‐24シーズンから滋賀の社長を務めている 【提供:滋賀レイクス】
逆に滋賀レイクスは3勝29敗の全体最下位で、勝率は1割を切る「9分4厘」と厳しい状況。ただし若手選手の台頭、有望新人の獲得といった明るい材料があり、集客も健闘している。
今回の記事では原毅人社長のインタビューと、試合の取材を通して「厳しいシーズンの背景」「未来への展望」を探ってみたい。(※チームと個人の成績は1月末時点/(三遠ネオフェニックスと滋賀レイクスは1試合がアクシデントにより不開催)
「目標設定」と複数年契約
原社長はこう説明する。
「単年勝負でやっているところは当然ありますが、私達は3か年5か年の目標設定をしていて、計画的に多くの選手と複数年契約を締結しています。今シーズンをしっかり戦い切ってその中で成長して、シーズンを重ねるごとに成長と勝利数を積み重ね、2028-29シーズンの優勝を目指していく共通認識を持っています」
前田健滋朗ヘッドコーチを筆頭としたコーチ陣にくわえ、野本、岡田、常田、市岡ショーン、長谷川比源、西田陽成の6選手とは複数年契約を締結済みだ。また2024-25シーズンで契約が切れる選手の中には、延長交渉に入る選手もいるという。
原社長はこう続ける。
「シーズン前半で日本人のコアユニットが誰なのか。その中でメインプレーヤーは誰なのかという見極めが進みました。チームビルドの進捗は決して悪くないと思っています。岡田泰希が台頭して、常田耕平も彼のプレーヤー像が見えてきた。台湾人の游艾喆は壁にぶつかっているものの、スペシャルな選手であることは確認ができています。岡田と游は『スターポテンシャル』だと思っています」
岡田はシーズンの序盤こそ苦しんだが、12月14日の長崎ヴェルカ戦から3試合連続20ポイント以上を記録するなど、スコアラーとして本領を発揮しつつある。游はスコアリング、プレーメイクの部分でまだ苦しんでいるが、アスリート性や鋭い反応を生かした守備力は出色で、まだ22歳と若い。確かに素材としては「スペシャル」だ。
外国籍選手はブロック・モータムが34歳、マーキース・カミングスが36歳でベテラン枠。一方で日本人とアジア特別枠については「育てる」「経験を積ませる」という意図が明確に見える。
前田HCが34歳、原社長が36歳とコーチや経営のトップも若い。戦略が実ると断言できるわけではないが、滋賀は未来を見据えているチームだ。
19歳の「目玉」獲得にこぎつける
長谷川比源の中退と滋賀入りは今オフのサプライズだった 【(C)B.LEAGUE】
原社長はこう振り返る。
「世代の中でも圧倒的なフィジカル的・スキル的ポテンシャルを持つトップタレントで、目をつけるのは必然かなと思います。彼が中退覚悟で大学のシーズンに臨んでいる情報をキャッチできたことで、交渉のテーブルにつけるかが決まったのではないでしょうか。我々の編成は私を含めてGMの眞庭(城聖)、(オーナーでプレジデント・オブ・バスケットボールオペレーションズの)中山(太)の3人でやっていますけど、その優位性が出ました。我々の若い可能性に賭けて積極的に起用していくスタイル、マネジメント側の思惑もしっかり伝わったと思います」
長谷川はまだプレータイムが安定せず、1月29日の長崎戦のようにプレータイムが無かった試合もあるのだが、とはいえ19歳からB1を経験できている。それは滋賀、日本バスケの未来にとって価値のある投資だろう。