大谷翔平のスイングが明らかに強く、速く――敗戦の中に見えた光明【WS第4戦】
10月29日(現地時間)に行われた、ドジャースとヤンキースによるWS(ワールドシリーズ)第4戦。ドジャースは初回、フレディ・フリーマンの2ランで先制するも、投手陣がヤンキース打線を止められず、11対4と大敗した 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】
よって2点を追う七回、1死一塁で打席に立つと、ドジャースファンは期待を、ヤンキースファンはじわりと手に汗をかいたはず。
ところが結果は――。
一塁走者のトミー・エドマンが二盗を決めて、1死二塁。単打で1点差という場面だったが、ここで大谷は、外角低めのスプリットを振って空振り三振。続くムーキー・ベッツも三振に倒れると、敗色ムードが漂った。実際、八回に5点を追加され、試合が決まっている。
※リンク先は外部サイトの場合があります
※フォローすると試合の情報などを受け取ることができます。(Yahoo! JAPAN IDでログインが必要です)
詳しくはこちら
ブルペンゲームの脆さ
初回、4試合連続となる本塁打を放った、ドジャースのフレディ・フリーマン 【Photo by Elsa/Getty Images】
その瞬間、当然ながらドジャースのダグアウトは盛り上がり、デイブ・ロバーツ監督は「すごい興奮状態だった」と振り返ったが、長く続かなかった。ヤンキースが二回に1点を返し、三回は2死満塁の場面でアンソニー・ボルぺが満塁本塁打を放って逆転。そこでつけられた差を最後まで詰められなかった。
ブルペンゲームはリードを許すと脆い。負けている段階で、僅差の勝ちゲームで登板するリリーフ投手を注ぎ込むことは、彼らが翌日に投げられなくなるリスクをはらむからだ。五回を終えて1点差。まだ試合はわからなかったが、あそこではまだ動けなかった。そのジレンマが敗戦に繋がった。
ただ、そんな敗戦の中にも、ポジティブな要素が。すでに触れたが、大谷のスイングが明らかに強くなっているのである。
29日の試合。第1打席のショートフライは83.0マイルというスイングスピードを記録。ほぼフルスイングだった。
大谷の平均値は、昨年が77.4マイル。今年が76.3マイルだが、まずは、前日の全スイングの数値を紹介すると、以下の通りだ。
WS第3戦(10月28日)のスイングスピード 平均:75.6(単位はマイル)
三回(2打席目)
4球目(空振り)78.4
5球目(二塁ゴロ)79.3
五回(3打席目)
1球目(ファール)82.0
6球目(ファール)73.3
7球目(空振り三振)72.2
七回(4打席目)
2球目(空振り)67.3
4球目(ファール)75.1
5球目(ファール)76.0
6球目(三邪飛)77.3
29日は以下の通りだった。
WS第4戦(10月29日)のスイングスピード 平均:79.2
一回(1打席目)
1球目(ファール)79.7
4球目(空振り) 79.9
6球目(遊飛) 83.0
三回(2打席目)
2球目(中飛)76.9
五回(3打席目)
1球目(中前安打)78.2
七回(4打席目)
2球目(空振り)77.5
6球目(ファール)79.1
7球目(空振り三振)エラー
五回、左肩負傷後、初となる安打をマークした大谷翔平。WS第4戦は4打数1安打だった 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】
ロバーツ監督は「四球を選べる場面もあった」と話したが、1死一、二塁でベッツ、フリーマンという可能性もあっただけに、2点差ならまだわからなかった、との思いが透けた。
とはいえ、これだけ振れるようになったこと自体、驚き。本人もかなり回復に自信を深めたのではないか。明日からがまた、楽しみになった。