MLBポストシーズンレポート2024

「打球初速100マイル超が3球も」大谷らしい“快音”を響かせ、メッツとの初戦を快勝【NLCS第1戦】

丹羽政善

10月13日(現地時間)に行われた、ドジャースとメッツによるナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第1戦。ドジャースの大谷翔平は二回にタイムリーを放つなど、4打数2安打1打点と活躍した 【Photo by Daniel Shirey/MLB Photos via Getty Images】

 二回、制球に苦しむ千賀滉大(メッツ)からタイムリーを放った大谷翔平(ドジャース)。史上初の「50-50」を達成した9月19日(現地時間、以下同)のマーリンズ戦から数えて、得点圏では19打数16安打(打率.842)となった。

 パドレスとの地区シリーズでは、走者を置いて打席に立った場合は6打数4安打(得点圏は3打数3安打)。走者なしの場合は14打数無安打。今日も相変わらず走者なしでは無安打(2打数無安打)だったが、走者ありでは2打数2安打。得点圏では1打数1安打。

 試合後、FOXテレビのヒーロー・インタビューに応じた大谷は、得点圏で結果を出していることについて、「(理由は)分からないですね。たまたま」と答えたが、こう続けた。「チームとしてチャンスメークしてくれて、自分自身がより集中できていることが要因かな」。

メッツ先発の千賀滉大は1.1回を投げ、被安打2、与四球4、失点3と精彩を欠いた 【Photo by Harry How/Getty Images】

 チャンスに強い、弱い、という概念は、あくまでも人の印象に過ぎず、統計学を利用して選手評価を行うセイバーメトリクスの世界でも、否定されている。打席数が増えれば増えるほど、最終的にはその選手本来の打率に近づいていくからだ。

 ただ、シーズン終盤の優勝争い、ポストシーズンというプレッシャーがかかる場面でこれだけの数字を残しており、得点圏打率がわずか.095(21打数2安打)だった8月とは、まるで打席に立ったときの空気が異なる。ファンの“大谷ならなんとかしてくれる”という思いも、ことごとく現実になり、大谷は「相手にもプレッシャーがかかっている」と話したが、相手こそ、空気の違いを感じているのではないか。
 
 いずれにしても、地区シリーズを突破したときに大谷は、「初戦が大事だと思う」と話していたが、メッツとの初戦をドジャースは9対0で制し、先手を取った。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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