MLBポストシーズンレポート2024

メッツ先発マナイアが大谷を封じた「必然」 同じピッチトンネルを通る2つの球種とは?【NLCS第2戦】

丹羽政善

大谷との勝負を避けた2人の右投手

メッツの守護神エドウィン・ディアス。1回1/3を投げて被安打1、奪三振3で、ドジャースとの第2戦を締めくくった 【Photo by Michael Owens/MLB Photos via Getty Images】

 一方で、ロバーツ監督はこんな指摘もした。

「外角中心の攻めは、左投手に限った話。右投手は逆に、翔平に投げづらそうだった。それが四球につながった」

 確かにマナイア降板後、大谷と対戦した2人の右投手、フィル・メイトンとエドウィン・ディアスはまともな勝負を避けているように映った。

 メイトンが投げた4球は、いずれもストライクゾーンから遠く外れていた。ディアスとはフルカウントになったが、2つのストライクはいずれも見逃し。外角いっぱいで、ボールと判定されてもおかしくなかった。ディアスにそういう制球力はないので、たまたまという感じ。

 過去、4打数4三振と圧倒的に抑え込んでいるディアスでも大谷との勝負を嫌った。そのとき一塁に走者がいたが、冒頭で紹介した走者がいるときの数字は、どうディアスの頭をよぎったか。

メカニックが変わり、ついた自信

 走者がいるときと、走者がいないときの違いに話を戻すが、走者がいないときにボール球を振る確率は27.6%。走者がいるときは25%だった。後者の方がわずかにいいが、そこまで大きな差ではなかった。

 得点圏打率と同じで、打席数を重ねることでこうした差は徐々に縮まるはずだが、短期決戦ではそのまま終わってしまうこともある。いずれにしてもここまで、大谷は1番としてテーブルセッターの役目を果たせておらず、その点ではもどかしい打席が続く。

 ところで、マナイアがアームアングルを下げたのは7月30日の試合から。シーズン途中にあそこまで劇的にメカニックを変更することは稀だが、明白な結果が出ている。変更前は20試合に登板して、6勝4敗、防御率3.74。106イニングを投げて、奪三振101、与四球45だったが、変更後は12試合に先発して、6勝2敗、防御率3.09。75回2/3を投げて、奪三振83、与四球18。プレーオフでは3試合に先発して、2勝0敗、防御率2.65。17イニングを投げて、奪三振17、与四球6。被打率は.183となっている。

「何が変わったかと言えば、メカニックが変わったけど、何より自信がついた」とマネイア。

 その自信が今回、大谷をも抑え込む原動力になった。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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