週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#24】大学1年春から注目、強打のサード・佐々木泰 走攻守高レベルな外野手・柴崎聖人

西尾典文
 秋に行われるドラフト会議に向けて、年間400試合以上のアマチュア野球を観戦し、ドラフト中継番組では解説も務めるベースボールライター西尾典文さんが、有望なアマチュア選手を毎週レポートします。

 大学野球の秋季リーグ戦も本格的に開幕。4年生にとっては最後のアピールの場となりますが、今回は人気を集めそうな野手2人を紹介します。
(企画編集:Timely!編集部)

*現時点のレベルバロメーター:★の数
★★★★★ 5:複数球団の1位入札濃厚
★★★★☆ 4:1位指名の可能性あり
★★★☆☆ 3:上位指名(2位以上)の可能性あり
★★☆☆☆ 2:支配下での指名濃厚
★☆☆☆☆ 1:育成であれば指名濃厚

「1年春から注目の強打のサード!貴重な右の強打者」

青山学院大・佐々木は豪快なフルスイングと長打力が武器。打撃の幅も徐々に広がっている 【写真提供:西尾典文】

佐々木泰(青山学院大 4年 三塁手 178cm/82kg 右投/右打)

【将来像】松田宣浩(元ソフトバンク、巨人)

パンチ力抜群のバッティングと軽快なサードの動きは松田と重なる

【指名オススメ球団】西武
サードが固定できず、得点力が課題のチーム事情から

【現時点のドラフト評価】★★★☆☆
上位指名(2位以上)の可能性あり

 全国で最もレベルが高いと言われ、入替戦の厳しさから“戦国東都”とも呼ばれる東都大学野球。今年は西川史礁(青山学院大4年・外野手)が1位指名確実と見られているが、同じチームでもう1人注目度が高いのが佐々木だ。県岐阜商では3年夏に行われた甲子園交流試合に出場。全試合で唯一となるホームランを放って話題となった。大学でも1年春からサードのレギュラーに定着すると、リーグ戦でいきなり4本塁打を放ちベストナインも受賞している。

 しかし、その後の佐々木は決して順調だったわけではない。相手の厳しいマークもあって1年秋以降は低迷。3年春に打率.293、2本塁打をマークして復調したかに見えたが、3年秋、4年春は再び打率1割台に終わり、その間に台頭してきた西川と評価は完全に逆転した印象を受ける。ようやく本来の調子を取り戻したのは6月に行われた全日本大学野球選手権だ。初戦の福井工業大戦で一発を放つと、準決勝の天理大戦ではホームランを含む4安打6打点の大活躍。チームの大会連覇に大きく貢献し、MVPにも選ばれたのだ。

 秋のリーグ戦ではその状態に注目が集まったが、開幕戦となった9月9日の国学院大戦ではツーベースを含む2安打をマーク。その後の2試合はヒットこそ出なかったものの、開幕カードの3試合で合計4四球を選んでおり、まずまずのスタートを切った。

 佐々木の持ち味は何といってもその豪快なフルスイングにある。内角のボールはもちろん、外角の厳しいコースに対してもしっかり踏み込み、絡めとるようにレフトへ長打を放つことができるのは大きな魅力だ。広角に打てる点を評価されることが多いが、強打者タイプの場合はやはりいかに強く引っ張れるということは重要であり、その点では佐々木は大学球界でもトップクラスであることは間違いない。また昨年の大学選手権ではライト方向へもホームランを放っており、徐々に打撃の幅が広がっていることは確かである。

 一方で気になるのは少し打球の角度をつけようとし過ぎて、逆にラインドライブがかかってしまう当たりが多いという点だ。ただ秋の開幕戦を見る限りではその傾向は確実に改善しており、力みも上手く抜けているように見えた。四球をしっかり選べているというのも、その証拠と言えるだろう。

 今年の候補は他のカテゴリーを含めても強打の三塁手というのはあまり見当たらず、またプロから需要の高い右打者というのも評価されやすいポイントである。展開次第では昨年の常廣羽也斗(広島)、下村海翔(阪神)に続いて、西川と揃って青山学院大から2人の1位指名が誕生することも十分に考えられるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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